自称独身自称英国紳士に出会った話

藤村ムリン

はじまり 1

 1月。たまに会っていた男の子が忙しくなり、前ほどの頻度では会えなくなったため、他にデート相手を探すことにした。探した場所はCraigslist。今はそういう募集は出来なくなってるけど、その時は出会い系としても機能していた。真剣交際というよりは軽い出会いを求めている人が使うサイトだった。たまに会っていた男の子ともそのサイトを通して知り合ったから、私の中では100人に1人ぐらいはまともな人がいるという印象だった。デート相手募集と投稿すると、たくさん返信が来たけど、会いたいと思ったのは2人だけだった。ブルガリア人とイギリス人。ブルガリア人とは会う前に何度かメールをやり取りして、共通の話題もあり楽しかったけど、彼の結論は”Not much chemistry”。日本語にすると、chemistryは惹かれ合う要素や相性。それがあまりなかったということ。私もそれには同意だったので、1度きりのディナーで終わった。デート1回だけだとその場でさよならしてあとは無言ということが多いけど、彼はデートの終わりにどう思うか聞いてきて、いいやり方だと思った。もちろん家に帰ってじっくり考えたいタイプの人もいるだろうけど、私には彼のやり方が好みだった。

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