第7話 ⁂ギャラリー!⁂
父雄太の絵画は百貨店に展示されている事も多いので非常に高額になります。
それでも近年は百貨店でも若い画家の作品も多く、敷居が低くなって来ていますが、雄太の絵画は高く評価されているので高額です。
まあ作品と価格の折り合いが付かないので売れていないのもあるですが?
その為最近は企画ギャラリーや貸しギャラリーでの展示が中心になって来ています。
同じ作品でも若干低価格になりますし、画家本人から直接絵画の説明をして貰える事もあり作品を買ってくれる人が多いのです。
雄太は少しでも出費を減らしたいので企画ギャラリーの場合は複数で借りて展示をするグループ展を開催しています。
貸しギャラリーの場合は自分の個展を開いていますが?個展を開く時は妻沙耶に手伝って貰っています。
何故かと申しますと?絵画愛好家達の中では沙耶はちょっとした有名人。
才能有る画家の妻にしてこの美貌。
清楚な中に何とも言えない色香漂う円熟味を増した美しい沙耶。
個展ともなれば沙耶の周りにはブルジョア達の人だかりが…………!
こんな経緯もあり最近は雄太の絵画がメキメキ高額で売れて来ているのです。
雄太の絵画がここまで売れるようになったのには訳があるのです。
当然の事ながら雄太の作品の素晴らしさは言うに及びませんが?
それよりなによりこの美しい沙耶目当てという事も往々にあるのです。
まだまだ作品が売れなかった時代の個展会場での一コマです。
東京屈指の大富豪の70歳の老齢の男性山本が雄太の作品の大ファンという事もありギャラリーを訪れた時の事です。
沙耶は{何としても!買って貰わなくては!}と作品の売り込みに必死です。
必死の売り込みが終わった沙耶は大きな手ごたえを感じて、山本の返答に胸が高鳴ります。
すると山本は「高額で素晴らしい作品ですが?沙耶さんあなたが一度家に来て詳しく説明してください」
沙耶は100万円もするこの素晴らしい絵画を買って貰える為なら、そんな事などなんのその、喜び勇んで田園調布の豪邸に向かったのです。
田園調布の敷地内には手入れの行き届いた見事な和風庭園があります。
石畳を歩いて行くと庭園の中央には自然そのものを縮図化した池が有り曲線を帯びた太鼓橋が見えてきます。
自然を表現した緑豊かな山をつくりそこから水路ができて池に流れています。
その清流の流れのあまりの心地良さに一瞬時が止まったそんな感覚を覚える沙耶なのです。
日本の芸術の粋を結集した何とも芸術的な庭園のあまりの美しさに見入っているとあの時の老齢の男性山本が声を掛けて来たのです。
「どうぞ中へ!」
豪華な和室の応接間に招かれた沙耶は豪華な調度品の数々に目を丸くしています。
するとその男性が「桐谷画伯の絵をこの応接間に飾りたくてね~!」
と好感触な第一声にすっかり舞い上がっています。
それでもこの豪邸には似つかわしくない余りにも閑散とした佇まいに{お手伝いさんだけはさっきお茶を運んでくれたから居るのは分かるが、他には誰も居ないのか?}
「あの~?奥様は?」
「嗚呼………妻は5年前に乳がんで他界しまして、それからは私一人でこの広い家に………本当に寂しいもんです」
「素晴らしい豪邸で只々見入っております。ところで絵画はお気に召されましたか~?」
「ああ!最初からあの絵には目を奪われていました。是非とも購入させて頂きます」
「アアアア!本当にありがとうございます」
「その前にチョット年寄りの趣味に付き合って貰えないかね~?」
「はい!喜んで!」
「茶室で茶でも立ててしんぜよう!」
そして2人は茶室に向かったのです。
すると今まで穏やかだった態度が一変して沙耶の身体を引き寄せ服をはだけて豊満な乳房に手を忍ばせ欲望のままに股座に手を這いつくばらせ・・・
「ななっ何をするんですか~!オッオヤメ下さ———い!ダッ誰か———た助けて————!」
「ウフフフフ~!絵画は今直ぐ購入する!お金は今キャッシュで支払う!その代わり良いだろう?」
「止めて!止めて下さい!お願いです!」
70歳と言えども獣と化した男の力には勝てず等々・・・
夫の雄太にも言えず人知れず泣き尽くす沙耶。
沙耶のあまりの変貌ぶりに雄太も心配しきり「一体どうしたんだ~?」
「もうあなたの個展のお手伝い絶対したくありません」
「何を言っているんだ~?お前が手伝ってくれなかったら絵が売れないだろう?」
「わぁ~~~~ん😭何を言ってるの~!私がどんな目に合ったかも知らないくせに?うううう~」
そう言えばあの日やけに服装が乱れて化粧が剝がれていた事を思い出した雄太はまさかと思い「お前まさかあの爺さんと???」
「ワァ~~~~ン😭」
これからこの2人はどうなって行くのか?
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