第47話お兄ぃって社畜なの?

時刻は午後6時。俺と清水は書類と格闘していた。


「なぁ、真琴。マジキチ」


「知らん。頑張れ、5日の我慢だぞ?」


「長いわ!普通におかしくね?」


「ふっ…俺達は社畜だ。社畜は働くことこそ人生…見失うな」


「お前すげーよ。オラァ…疲れたよ」


「そこはほら、目がシャキーンとするこのドリンクを飲めば1発さ」


「へっ…そんなもん効かねーよ」


そんな会話を繰り広げていると…


「お、お邪魔しまーす…」


そういい入ってくる人が居た。


「はーい!お邪魔ですぅ!仕事ナウですぅ」


と、清水がアピールするが何処吹く風。

その子はどんどんこちらに近づいてきた。

そして…


「お兄ぃ!来たよ!」


と、俺に向けて紙袋とボトル2本を寄越してきた。


「ありがとう、雫。…これは?」


と、俺が聞くと雫はニッコリと笑った。


「珈琲だよ?」


「珈琲?」


「うん!水瀬さんが作ったやつ!」


…俺は危うくボトルを落としそうになった。


「…やっぱり」


「え?」


「美味しくないのに美味しいって言ったでしょ?」


「…うっ」


「もう〜…そのせいで大変な思いしたんだからね?」


「大変な思い?」


「そうそう。1から珈琲の入れ方をレクチャーしたり…あれは大変だった」


「お、おう…お疲れ様です」


「本当だよ!…それよりお兄ぃ、その紙の山は何?」


と、雫は俺の後ろにある紙の山を指さした。


「あ〜…仕事マウンテンだ」


「…うん?」


「仕事マウンテン」


「なにそれ?」


「要するに…そこで固まってる清水ってやつと一緒に戦わないといけない相手だよ」


「…え?うわあ!?」


雫は俺に言われるまで気づかなかったのであろう。清水を見てびっくりしていた。


「や、やほ〜…俺、清水。怖くないよ?」


と、びっくりされた事に衝撃を受けたのだろう…。清水は恐る恐る挨拶をした。


「ど、ども…和泉…雫です。初めまして…」


と、雫もおっかなびっくりしながら挨拶をした。


「所でさお兄ぃ。今日はいつ帰れるの?もし、遅くなるんだったらご飯作るけど?」


と、言われ俺はフリーズした。


「あ!あれ作ってあげる!お兄ぃの好きな肉じゃが!私ね、結構上手に作れるようになったんだよ!」


「………」


「ふふん!コツはねじゃがいもを別で茹でて…って、なんで俯いてるの?」


と、雫は不思議そうな顔をして聞いてきたが…ふっ。決まってるじゃないか。


「…5日後だ」


「…え?」


「俺が帰れるのは…5日後だよ、雫」


「い、5日…後?」


「そう…帰れないんだよ、俺」


「お、お兄ぃ?おかしいよ…そんなに仕事しないといけないんだなんて!」


「分かってるさ…でも、やらないといけないんだよ」


と、俺が悟ったような顔すると雫は言い放つ。


「…お兄ぃ。それってなんて言うか知ってる?それって社畜って言うんだよ?」


「「…グハァ!!!」」


と、俺と清水はダメージをくらった。


「しかもね、そういう企業はブラック企業って言って違法なんだよ?」


…分かってるさ。でも…


「雫。男にはやらないといけない事があるんだ」


「うわぁ…なんか始まったよ…」


「いいかい?社畜でもブラック企業でも関係ないんだよ。俺達は働かないといけないんだ」


「ふむ…それで?」


「例えば…クリスマスで『綺麗な景色!』とか言って夜景を眺めるとするだろう?」


「ふんふん。確かにね」


「その景色はな、俺達社畜が作っているんだ」


「ほぉ…その心は?」


「俺達クリスマスに働いている人達に土下座して『ありがとうございます』と言って欲しいんだ。分かるか?1人寂しく売れ残ったケーキを買い、あまつさえイチャイチャしているカップルを仕事終わりの疲れた身体に見せつけられ!更に人目をはばからずキスまでするその所業!俺は許せない!!!」


「あ〜…はいはい。よしよし、落ち着こうねぇ。話題がズレてるよ〜」


と、雫に慰められた。

隣にいる清水も目元が潤んでいる。


「分かってくれ、雫。俺は頑張らないといけないんだ」


「うん、さっぱり分からないけど…5日も1人なの?」


「え?留守番くらいなら…」


「…来ちゃうよ?」


「…え?」


「隣の水瀬さんが来ちゃうよ…?」


「なんだそのジ〇リみたいな言い方」


「森の中には住んでないけど、隣の水瀬さんは怖いよ…今日は綾瀬さんが助けてくれたけど絶対また来るもん…」


「あ〜…」


「だから、私が我慢できて3日…」


「み、3日…?」


「そう。だから頑張って!お兄ぃ!はい!美味しい珈琲もあるし!限界を超えるんだよ!」


「わぉ。雫さんや、無茶を言うねぇ…」


「大丈夫!…清水さんも頑張って下さい!」


と、雫は机にぐた〜っとしていた清水に話しかけた。


「お、おぅ…頑張ります」


「はい!じゃあ私は帰るね、3日後お料理作って待っているから…バイバイ」


そういい雫は帰って行った。


「何あれ…めっちゃ可愛い妹ってこの世に存在したんだ」


と、清水が言うが…


「ハハッ!鬼畜の間違いだろう?見ろよ、この仕事を3日で片付けることになったぞ?」


「…確かに」


「さぁ、休んでいる暇は無いぞ!さぁ!翼を授かろうではないか!」


そう言い俺と清水は雫が持ってきてくれた2本のうち1本をコップに入れて飲んだ。


「「ブ〜…!!!苦ァ!?」」


こ、これは…最近飲んだ水瀬さんの珈琲!?


「けほっけほっ…な、なんだこれ苦すぎて目が覚めたぞ!」


そう言い清水はびっくりしていた。


「み、水瀬さんの珈琲がこんな時に役立つなんて…清水。珈琲コレを使えばずっと起きてられるな」


「あぁ…眠気に喧嘩売るような代物だからな…。目がシャッキリしたぜ」


「頑張ろうぜ!清水!」


「おうよ!よく分かんねぇけどやる気が溢れる!」


「ウオオォォォォォ!!」


そう言い俺と清水は水瀬特性珈琲ドーピングをし書類に戦いを挑むのだった。


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皆様!おはこんばんにちは!

青の空です!


…絶賛ほろ酔いで書いております。

なので少しいつもよりテンション高めでお送りしております。


飲まなきゃやってられない人生です。


さて、仕事をしながらそろそろまたイベント事を起こそうかなって考えておりました。


これからもよろしくお願い致します!


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