第2話:家族会議1
「父上、母上、どうなされますか」
私はルドルフを恐れて逃げ出したように見せかけて屋敷に戻りました。
そしてさっき私がやられた事と見聞きした事を両親に話しました。
あの場にいた王侯貴族のほとんどが私に同情してくれたことでしょう。
誰が見てもコリンヌに誑かされたルドルフが乱暴したと分かります。
ただ加害者が王子と公爵令嬢で、被害者が伯爵令嬢なので誰も助けに入ってくれないだけで、内心ではルドルフとコリンヌの事を罵っているのです。
「かわいそうに、痛かっただろう、辛かっただろう、よく我慢したね」
父上が私を思いやる言葉をかけてくださいます。
心を痛めてくださっているのが伝わってきます。
「もう痛くはないの、セシリア。
傷は治っているようですが、誰か親切な方が治してくれたの。
でも腕のいい治癒術師の方でないと傷跡が残ってしまうことがありますよ。
さあ、よく見せてください」
母上は私の顔のケガを一番に心配してくれています。
女性らしく女の顔に傷跡が残っていないかを心配してくださいます。
それどころか小走りに近寄って強く抱きしめて、丹念に顔に傷が残っていないか確認してくださいます。
照れてしまうと同時にうれし過ぎて涙が流れてしまいました。
★★★★★★
思っていたよりも長い時間家族愛を確かめていました。
できるだけ早くこれからの事を相談したいという想いはあります。
ですがそれ以上に家族の愛情を確かめる時間に浸りたかったのです。
前世で家族に恵まれなかったトラウマなのでしょうね。
両親と弟に対する執着心がとても強いのです。
まあ、同じ家族でも性根の腐った伯父家族は吐き気がするほど嫌いですねどね。
「ルイーズ、セシリアよく聞いて欲しい。
ルドルフ王子とコリンヌのやった事は許せない。
できる事ならこの手でセシリアが受けたのと同じ痛みと屈辱を味合わせてやりたいが、残念ながら王家や本家に逆らう事はできない。
それに、分かりたくはないがコリンヌの気持ちも分かってしまうのだ。
コリンヌは公爵令嬢として生まれ育ったのに、このままでは伯爵令嬢に格下げされてしまうかもしれないのだ」
父上は本当にお優しいですね。
ですがこれは王侯貴族が男系を優先するので仕方のない事です。
そうでなければ王家の存在価値すら揺るがされることになってしまいます。
王権神授説を振りかざして王家の権利を主張するために作った制度です。
今更自分達に都合が悪いからと言って変えることなどできません。
それなのに父上はどうしようと考えておられるのでしょうか。
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