第28話 正直さと実演


「「ランダム武器生成!?」」


 俺が正直に打ち明けると、二人は心底驚いたような顔をした。それにしても反応まで一緒とは、本当に瓜二つな姉弟だな。見た目の違いは身長と耳の長さくらいなんじゃないか?


「そんなスキル聞いたこともないわよ? ってか、なんでそんなたわしから魔剣まで出てくる博打みたいなスキル使ってるの? 普通に剣術とか覚えたらいいじゃないの? あ、もしかして鍛錬したくないとかそういう口?」


 え、もしかしてこの世界は努力すればそれに見合ったスキルが手に入る感じなのか? 俺にもそのシステムが採用されてたらどれだけ楽だっただろうか。


「いやいや、私もそうしたいのは山々なんですが、私にはもう一つスキルがありまして……」


「もう一つのスキル?」


「はい、それがスキル取得不可、というものなんですが……」


「「スキル取得不可!!??」」


 本当に仲良しだなこの姉弟は。もう、わざと揃えているんじゃないかっていうくらい息ぴったりだったぞ?


「いやいやいや、なんですかそのスキル! ふざけてるとしか言いようがないですよね? そんなの神様がランダム武器生成だけで戦えって言ってるようなものじゃないですか!」


 いや、そう言われたんですよ、神様から直接ね、はい。全くほんとふざけてますよね。もうこの弟くんの叫びを神様に伝えたいくらいくらいだ。


「まあ、別に嘘をついてる訳でもなさそうだし、返してあげるわ。でも、最後にそのランダム武器生成とやらを私に見せてくれない? それを見て最終確認とするから」


「あ、はいわかりました。では、【ランダム武器生成】」


 これでいつも通り武器とも言えないような武器が出たら、俺の無害が証明されるな。


『ランダム武器:鉄の剣を生成しました』


 ……おい、なんでこういう時に鍵って使えそうな武器出してくるんだよ。まあ、魔剣みたいなチート武器じゃなくて良かったけど、人前だからって優秀ぶるなよー。お前は俺一人だと缶ジュースとかしか出さないくせにー。


「ほ、本当に武器が生成されたわね」


「そこからともなく急に鉄の剣が! す、すごいです! まるで魔法じゃないですか!」


「そして、戦闘が終了すれば一人でに消えるんでしょう? あれ、ってことは今回は何を倒すことになってるの? もしかして私たちじゃないでしょうね?」


「まさか、今回はお二人に無害を示すこと、を戦闘としましたので、貴方達が納得すれば勝手に消えるんじゃないですかね?」


「へぇー、ますます変なスキルね。まぁいいわ、あなたがこんななんの変哲もない剣を持ったところで全然怖くないし、そんなあなたがあの狼の群れを倒したことを考えるに、そのクラスの武器が出るのは当分後でしょうから、危険な存在じゃないってことは証明されたわ」


 おい、あくまで俺の人間性とかはフル無視ですかい?


「じゃあ、あなたがいた街まで送ってあげるわ。弟を見つけてくれたお礼ね、私は約束はまもる女なの」


「え、お姉ちゃん、どういうこと?」


「いや、あなたが迷っていたからこの人間に協力してもらったのよ?」


「え、なんでそんなことする必要があるんですか! 僕だって一人で帰ることくらいできますよ!」


「だって、アンタ方向音痴じゃん」


「うぐっ」

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