嫌がらせされました!
ダンジョン調査としてやって来た俺達だが、妙に目立ってしまっていた。
まあ未来予知と【剣聖】のコンビなら仕方ないが。
「アーニャここら辺には目ぼしい物はなさそうだ。次へ行こう」
「何にもお宝ないの悲しいわね。何かこうSランクのマジックアイテム欲しい」
「奥に行けば可能性はある」
アーニャは不満そうに頬を膨らませた。
Bランクモンスターが多いダンジョンの為、最奥地でも大したお宝は望めないだろうとは覚悟している。
それでも淡い希望を抱いて進むしかない。
「ちょっとモンスター多いんじゃない」
「一度攻略済みの筈なんだがな」
おかしい、これは明らかに不自然だ。
モンスターが多すぎる。
攻略されてから随分時間が経過しているのか?
「アーニャ後ろを頼む」
「オッケー。前は任せたわよ」
俺達はリザードマンに囲まれている。
俺とアーニャは軽くあしらうように討伐していく。
「ラプラスの悪魔」
ここで右に曲がったら――
ここで左に曲がったら――
「左側しか進む道が無い。バッファローがいるが仕方が無い」
「壁壊す?」
「いやダンジョン調査の名目で来ている以上余り荒すのはよくないだろう」
「この剣で壁なんて簡単に壊せるのに」
アーニャは不服そうにしている。
【剣聖】なら余裕だろう。だがここはクエストの為にも我慢してもらうしかない。
「うらあああああああああっ!」
「はああああああああああっ!」
俺とアーニャで突進してくるバッファローを難なく討伐する。
周囲の冒険者たちがそれを見てざわつく。
中間層手前まで調査した結果、同じダンジョン調査の冒険者や、マジックアイテム狙いの冒険者が増えていた。
奥に行けば行くほど調査報酬やマジックアイテムに期待が持てる。
ダンジョン調査の目的はダンジョンの生態系を国に報告する事だ。
「やっぱりホーリーナイトと剣聖は凄いな」
「圧倒的な実力ね。正直勝てる気がしないわ」
「何でこんな場所に二人で来てるんだろうな」
非常に目立っている。
周囲の冒険者の物凄い賛辞を浴びる。
あまり好ましくないな、敵を増やしそうだ。
「ここの道を真っ直ぐ進めば中間層に入るだろう」
「もうそんな所!? 意外と早いわね」
「アーニャが強すぎるからな」
「それはお互い様でしょ」
俺達はどんどんダンジョンの最奥地を目指して驚異の速度で進んでいく。
中間層に行くため入り組んだ道を《ラプラスの悪魔》で最速で移動する。
予め直近の未来が分かるのは便利すぎるな。
「おい、お前ら止まれよ」
「うん?」
「調子に乗るなよ。俺の縄張りを荒してんじゃねえ」
誰だこいつ?
俺達に派手な格好をした青年が突っかかって来る。
「俺はここのダンジョンの管理者なんだよ。さっさと出ていけ」
「管理者? ダンジョンの管理は基本国だぞ」
「黙れ、ここで一番強い俺様が管理者に決まってるだろうが」
基本ダンジョン管理は国である。
稀に個人が所有していることもあるが、殆どは王族だ。
こんな見た目で品のない奴が管理者な訳ない。
「悪いがここのダンジョン調査を国から依頼されたんだギルドを通してな。邪魔だからどいてくれ」
「はっ、調査だと。お前らみたいな雑魚がか。面白い冗談を言うガキだな」
「行くぞアーニャ」
「ええ、こんな奴構うだけ無駄よ」
俺達は青年の言葉を無視して先へ進もうとする。
すると右手に持っていた剣を俺達に向けた。
「ここのダンジョンの報酬は誰にも渡せねえ。このガガリュ様の物だ」
「ラプラスの悪魔」
「何を言っている?」
ここで無視したら――
ここで戦ったら――
「お前は負けて逃げ出す」
「ふははははっ。何言ってやがるお前ら如きに負ける筈ないだろうが」
俺が戦おうとするが、その前にアーニャが俺の助言を聞いて、咄嗟に前に飛び出した。
そして高価そうな剣で一瞬でガガリュの剣と派手な鎧を破壊した。
「な!? 何が起きて!?」
「これが私達と貴方の実力差。分かったら二度とここに立ち入らないで迷惑だから」
「う、うわあああああああああああ」
ガガリュは完全に戦意喪失して必死に醜く逃げだす。
もう二度とこのダンジョンには足を踏み入れないだろうな。
「助かったよ、あいつのせいで俺達碌にダンジョン調査出来なくてさ」
「ありがとうなお姉ちゃん、それに少年も――ってホーリーナイトのライル!?」
「嘘だろ何で。それによく見たら剣聖のアーニャじゃないか。そりゃ強いわけだ」
ああ先刻と同じ事が起きている。
やっぱり元ホーリーナイトだから目立つんだな。
それに今は【剣聖】のアーニャと一緒だしな。
「じゃあ俺達はこれで。最奥地を目指すんで」
「あ、ああ。が、頑張れよ」
周囲の冒険者は俺達に圧倒されて固まっていた。
変な噂が立たなければいいが。
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