未来予知で美少女の剣聖を助けました!
「全く人を大嘘つき呼ばわりしやがって……偶然な訳ないだろ。もうどうなっても知らないぞ」
俺は国内トップクラスのパーティー【ホーリーナイト】を追放されて、一人街道を考えながらひたすら歩く。
困ったな。
最低装備にお金はゼロ。
このままだと飢え死にするな。
使うか
「ラプラスの悪魔」
俺がそう詠唱すると直近の未来が俺の目に宿る。
スキルを発動した瞬間、俺の脳内に無数の「可能性の道」が示された。
未来は決して一つに確定しているわけではない。
行動で変わるのだ。
スキルを発動した瞬間、俺の脳内に無数の「可能性の道」が示された。
ここで止まったら――
ここで走り出したら――
このまま歩いたら――
ここで声を上げれば――
そして……。
この道を右に曲がったら――
「人が……襲われる!?」
厳密に言えば人が襲われている現場に出くわす未来が視えた。
ということは……。
「助けに行かないと!」
俺は路地裏を曲がり、急いで走る。
その結果路地裏で一人の煌びやかな布の服を着た美少女が下種な男どもに襲われそうなのを確認した。
やっぱり《ラプラスの悪魔》は便利だな。
「おいやめろ。いい歳した男がか弱い少女を襲おうとするな」
「何だてめえ!!」
「通りすがりの者だ」
「ああ!! てめえから殺すぞ」
全く下種な奴らだ。
俺は再びスキルを発動する。
「ラプラスの悪魔」
ここで戦えば――
ここから逃げれば――
「逃げ切れる!」
いまは戦うことよりこの場を切り抜けるための「可能性の道」を選択する。
「よし行くぞ」
「え!?」
「いいから」
俺は襲われそうな美少女の手を引っ張って路地裏を抜ける。
「待ちやがれ!!」
「待てこら!!」
勿論怒りを彷彿させて追いかけてくるが、俺の《ラプラスの悪魔》には勝てない。
俺の未来予知は絶対だ。
路地裏を抜けて左に曲がると、俺達は見事下種な男どもから逃げ切った。
「危なかったな。大丈夫か?」
「え、ええ。ありがとう。私はアーニャ」
「俺はライル。宜しくな」
「でもよく逃げ切れたわね」
「この目が教えてくれたんだ」
「この目?」
「俺のスキルは
俺はまた大嘘つき呼ばわりされるかと思ったが、アーニャは俺の両手を握り飛び跳ねた。
「凄い凄い! 何そのスキル。もしかして、役職がユニーク?」
「ああ、一応……」
アーニャは凄く嬉しがって喜んでくれている。
絹のような柔らかいであろう綺麗な金髪と一切の曇りない黄金の瞳。
そして何より異常なまでの整った容姿。
余りの可愛さに俺は見とれてしまう。
「そういうアーニャの役職は?」
腰に剣を携えてるから戦士か剣士だろうか。
「私の役職は『剣聖』。街中で剣を振り回せないから戦わなかったの」
「剣聖!? 凄いな」
予想外だった。
まさか戦士でも剣士でもなく数少ない剣聖だとは。
剣聖はかなり強くあのディオスでさえ剣士止まりである。
この国のトップより上だろう。
国から最高の称号が貰えるほどだ。
「そんなことないわ。でもライルの未来予知と合わされば最高の冒険が出来るかも」
「そうかな」
「そうよ凄いわ。ねえ良かったら私と一緒にパーティーを組んでくれない?」
「え!?」
「嫌だった? あ、それとももうどこかに所属してるとか?」
「いや無所属だ。でも俺なんかでいいのか?」
「私を助けてくれた恩人だから。勇気ある人好きだから。何より優しいからライルは」
アーニャは眩しいくらいの笑顔で笑って言ってくれた。
俺はその笑顔に見とれる。
そして俺はその言葉に嬉しくなった。
それと嘘つき呼ばわりしないで信じてくれたことに凄く嬉しくなり自然と涙を流してしまった。
「大丈夫?」
「あ、ああ凄い嬉しくて」
「良かった。改めて宜しくねライル」
「ああ宜しくなアーニャ」
俺はこの日アーニャと言う美少女を助け、そしてパーティーを結成した。
「ライルの未来予知と合わされば最高の冒険が出来るわ」
「全力でサポートする。俺も一応戦えるし」
二人は運命の出会いを果たした。
因みに役職について説明しておく。
役職には四種類が存在する。
ユニーク、最上位、上位、一般の四種類だ。
ユニーク職は俺の《ラプラスの悪魔》のような唯一無二の使い手だ。
因みに俺は予知師という役職が与えられている。
最上位職には剣聖、賢者、竜騎士、パラディンなどだ。
上位職には上級剣士、上級魔導士、ハイヒーラーなどだ。
【ホーリーナイト】のメンバーはこの上位職に当たる。
上位職でも国のトップに上り詰められたのは俺の《ラプラスの悪魔》があったからだ。
一般職は戦士や剣士や騎士、ヒーラーなどだ。
この四種類の役職で世界は成り立っている。
「じゃあ先ずは冒険者ギルドに向かいましょう」
「そうだな。行くか」
俺達の冒険はここから始まる。
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