第58話 領地へ 悪巫山戯が……

 それにしても、なに?この大きな円卓は!

 誰が持ってたのかしら?クレオかな?

 しかも、ルトとルクスがアレクお兄様の側に居るけど……。

 随分と手懐けたわね?


「み、皆様お揃いでしたの?」

「ええパトリシア!今日のお昼は、おうどんですって?お母様楽しみにしてるわよ?」

「今、殿下達に昼のメニューの、説明をしていたのだよ」

「そ、そうでしたか。ヴァンスお兄様、お客様達に説明してくださり、ありがとうございます」


 それは、手間が省けたわね。


「ほら、シア。立ってないで、ここに来て座れよ」


 そう言って、椅子を引いてくれた。

 流石お兄様です。


「ありがとう。アレクお兄様」


 といって素直に隣に座る。


「で?シア、天ぷらは?」

「ちゃんと頼んで来ましたわよ?あとご飯もあります」

「おし!」といって頭を撫でる。

「お兄様やめて!お髪が崩れますわ!」


 すると、真向かいに座って居たクレマンド殿下が笑う。


「ハハハ。本当に仲の良いご兄妹ですね?」

「ええ、私の自慢ですよ?妹じゃなければ妻にでもしたいくらいですよ。殿下」


 冷静な顔をしてそんな、爆弾を落としてまた私の頭を撫でる。


「お、お兄様。真面目なお顔をされて、馬鹿みたいな事は、言わないで下さいませね?全く!恥ずかしいったら」


 頭を撫でる手を払い兄に文句を言う。


「そ、そうだぞ。アレク、お前も早く婚約者を決めないとな?」

「私は要りませんよ。まだね?まぁこれ(パトリシア)以上に賢い気が利く。と言う成らば考えますがね?父上」


 また、私の頭を触りながら何を飛んでもない事をほざくのよ!


「ハハハ、まぁ冗談ですがね?ハハハ!」

「「「「・・・・・・・」」」」


 洒落に成ってない気がする……。


「アレク!悪巫山戯が過ぎるな?心臓に悪いよ全く。まぁ分からんでも無いがな」


 今度は、ヴァンスが飛んでも無いことを言う。

 兄弟二人で何を言ってるのやら……。


「そうねぇ。パトリシアが産まれた時に一番喜んだのは、アレクだものねぇ。父親差し置いてそれは大はしゃぎでね?僕が面倒を見ると言って聞かなかったわね。懐かしいわねぇ~」


 そんな事があったのね?でもなんとなく覚えてるわね……一番可愛がってくれてたもの。

 それは、今もかしら?


「母上。お客様の前です、やめて下さい」


 急に赤くなる兄が可愛いわね。フフフ。


「仲が良くて、好いですね。私も可愛い妹が欲しかったです?それに、ご家族が仲睦まじくて羨ましい」


 突然、寂しげに羨ましいと言う殿下ですが……。


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