友人キャラです。学園の女子から嫌われています。モテモテ主人公は別にいます。←こいつがヒロインNTRれた理由…何なん?

【世界一】超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳

第1話 プロローグ(前)

この世界は、同じ時間を繰り返している。


 ――高校2年の始業式を明日に控えた今日から終業式までの一年間をループしているのだ。




 理由は不明だが、俺にはそのループ間の記憶が引き継がれている。


 最初は混乱したが、今は慣れてしまった。




 どうしてこんな不思議な現象が起こっているのか。


 断言はできないのだが……俺は何となくその理由を察していた。




 この世界は、恋愛シミュレーションゲーム――所謂『ギャルゲー』の世界の中なのだ。


 ギャルゲーといえば、優しいだけが取り柄の平凡な主人公が、多くの魅力的な女の子と仲良くなるという、あれだ。




 目立った特徴もないくせに、やたらと可愛い女の子とフラグをたて、モテまくる友人が俺にはいる。


 この世界の主人公が誰か、と問われれば、彼の名を迷いなく挙げる。


 一方、俺がどんな役割をあてられているかと問われれば、モブ同然の友人キャラといったところだろうか。




 ――と、いうわけで。


 俺はこれまでループを経験してたが、記憶を探れば、いつだって主人公は、魅力的なヒロインと恋をしていた。




 ある時は素直になれないツンデレ幼馴染と。


 ある時は本当に兄妹なのかと突っ込みたくなるほど美形な実妹と。


 そしてある時は、学園どころか本当のアイドルとして活動している美少女と。




 彼女らは、全員がとても綺麗で、可愛らしくて。


 ギャルゲヒロインの名に恥じない魅力的な女の子たちだった。




 そんなギャルゲー世界で、何故ループが起きているのか。


 こんな非常識なことに理屈も理由もないとは思う。


 だがせめて、俺なりの仮説を述べさせてもらえるのならば――。




 この世界の主人公が、一度としてハッピーエンドに辿り着いていないから。




 ……と、俺は思っている。


 確かにこれまで、主人公は魅力的なヒロインと恋に落ち、結ばれた。




 しかしこの世界には、理不尽なルールが存在している。


 それは――この世界ゲームで主人公と結ばれなかったヒロインが皆死んでしまう、ということ。




 いつだって主人公は結ばれなかったヒロインを助けられずに、その死に様を見ることになる。


 そのせいで、主人公と結ばれていたヒロインは心に深い傷を受け、それが原因となって――別れてしまう。




 ちなみに、これまでのループの経験から、前回のルートで死んでいても、進行中のルートで主人公と付き合えば、死亡エンドは回避できることも分かっていた。




 つまり、俺の予想では――この世界ゲームの外側にいるプレイヤーが、バッドエンドを目の当たりにして、リセットを繰り返しているのだ、 




 だから、もしも。


 ハッピーエンドを迎えたプレイヤーが、リセットボタンを押さなければ。


 或いは単純に、「ヒロイン全員と主人公はその後幸せに暮らしました。めでたしめでたし」


 で最後が締めくくられるハッピーエンドがあるのだとすれば。




 このループを抜け出して、ただひたすらに幸せなだけのアフターストーリーが始まるのではないかと、俺は期待を抱いている。




 だから俺は、ヒロイン全員が生存する可能性のあるルートに辿り着いてもらうために、決意する。


 主人公には、ハーレムエンドを目指してもらおう、と……っ!




 主人公と結ばれないヒロインが死んでしまうのなら、全てのヒロインが主人公と結ばれれば死亡フラグは立ちようがない!


 つまり、全員生存のハーレムエンドに辿り着けば、ハッピーエンドを迎え、アフターストーリーを始められるはずなのだ!!!




 ――根拠もくそもない、俺の安直な妄想であることは否定できない。


 だがそれでも、出来る限りの行動はしたい。




 単純に、いつまでも高校2年生のまま先に進めずループを繰り返すのは苦痛だという事。


 ――それ以上に。


 魅力的なヒロインたちが死ぬのを見るのは、もうこれで最後にしたいと、切実に願っているのだ。







 さて。それではまずはどのようにして主人公のハーレムエンドへの道をサポートしよう?




 ベタだが、これまでの経験を活かし、把握している各ヒロインの攻略情報を主人公に提示しようか。


 3サイズはもちろん、好みの男子のタイプや頻繁に出没するスポット、果てにはこれまでのループで知った付き合うまでの告白チャートまで、俺は何もかも知っている。




 思えば、ギャルゲーには、何の見返りもなく、可愛い女の子の趣味嗜好やデータを主人公に開示する、聖人のような友人キャラが数多くいる。




 そんな彼らを見て、俺は裏で主人公に弱みを握られているのだろうな、と生暖かな目で見ていたのだが。


 意外と彼らは、今の俺と同じように、理不尽なループから抜け出すために抗っていたから、そんな無性の善意を主人公に捧げていたのかもしれない……と。




 ふと、そんなことを考えてしまうのだった。

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