第18話 説得
「クロサキー!いるかー!」
部屋を開けながら、明るい声で呼んだ。
クロサキにとって不快な大きい声かもしれないが、気にもしなかった。
それよりもクロサキが何が原因でそのような状態になったのかが分かったのが嬉しくて、ついそんな弾んだ声を出してしまっていたのだ。
クロサキは相変わらず頭から布団を被って微動だにしていなかった。
ヒュウガが出かけてから結構経つが、その時から変わらないのは寝ているのかと思ってしまうぐらいだ。
ベッド脇に置いてある椅子に座ると聞いているのか分からない相手に向かって、独り言のように話し出した。
「クロサキ。オマエ、やっぱ話がしたいんだろ。だから、あんなことをしていたんだな。すぐに気づかなくてごめんな。なんなら、オレがその練習っつーのかな。まあ、それに付き合ってやるよ。単語でも話せるようになったら、シロアンだって嬉しいだろうしよ」
聞いていないのか、ピクリとも動かなかった。
今は無理も無いのだろう。前よりも心を閉ざしてしまったようだから。
今日は諦めるか。
そう思ったヒュウガは部屋から出た。
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