第1379話 しあわせ列車寿号
幸せ行きの汽車が夜中に走るらしい。そんな噂を聞いた俺は、噂の真相を確かめるために、夜中の駅へとやってきた。しかしいくら待っていても当然、列車なんて来るはずもなかった。
「ガセか。まあ来るわけないよな」
俺は地方雑誌のライターをやっている。地方雑誌も売れ行きが厳しくなってきて、最近ではネタとしてオカルト系を取り扱う事になっている。だからこれも仕事の一環として来ている。帰ろうと踵を返したら、前から男が歩いてくる。
「おや、あなたも寿号に乗るのかい?」
「本当に来るのか?」
「ああ」
待っていると本当に汽車が走って来た。俺は乗り込んだ。
「ところでこれは、どこへ行くんだ」
「幸せ行きだよ。極楽に満ちた世界。つまりあの世だね」
「降ろしてくれ」
慌てて降りようとするが、扉が閉まった。辿り着いた先は、一面が花畑の素敵な世界だった。
「ははは。嘘だよ。ただの観光列車さ」
全く質の悪いおっさんだ。
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