第1372話 セルフガソリンスタンド

セルフガソリンスタンドに寄って給油していると、黒いシルクハットを被った男がこっちに近づいてきた。

「このスタンドには、人のあらゆる力を再び満タンにしてくれる機械があるらしい」

「なんだそれ?」

「例えば視力。落ちた視力も満タンにすれば目が見えるようになる」

「凄いな、それは」

「だろう?だが隠されていて、どこにあるのか分からない。そこで相談なんだが、あんたも一緒に探してくれないか?」

「わかった。いいだろう」

スタンド内を探し回ってようやく見つけた。機械の裏側にあるボタンだった。それを押すとスタンド内が振動し、新しい給油口が出てきた。

「これがカラクリか」

「おっ、兄ちゃん。やったな。ところであんた、何を満タンにしたいんだ?」

「俺か。俺はな、若さを満タンにしたいんだよ」

そうして俺は口に給油口を入れ、若さを入れた。しかしどんどん老化していった。若さではなく、年齢を入れてしまったようだ。

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