第1345話 フィー婆ー

伝説のギャンブラー婆さんを知ってるか?

あの婆さんに目を付けられたカジノは、あっという間に破産に追い込まれるらしい。そんな噂を聞いた俺は、カジノでポーカーのディーラーをやっている。まさか……。ギャンブルは確かに一時的に勝てる時はあるが、勝ち続ける事なんて不可能なんだ。それはディーラーである俺が一番良く知っている。これはギャンブラーが流したデマに違いない。そう決めつけていた。

その日の夜も俺は、客たちの歓喜と悲鳴の中でポーカーをやり続けていた。

「邪魔するよ」

おばあさんだ。只者ではない雰囲気が一目でわかる。わかる、わかるぞ。この人が噂の妖怪フィー婆ーだ。

手札を配る。

「はい。フルハウス」

「残念。ロイヤルストレートフラッシュだ」

つ、強い。こんなことが!?

「フィー婆ー!!」

おばあさんが突如叫んだ。

「今夜はこの店の全財産を頂くよ」

そして店は破産に追い込まれた。俺は仕事を失った。

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