Akiyu短編集～千物語～

第961話 七夕ワゴン

今年も七夕の季節がやってきた。七夕ワゴンには、沢山の短冊が張り付けられていた。七夕ワゴンは、皆の願い事を多くの人達に見てもらおうとして始まったイベントだ。ワゴン車に張り付けてある短冊に願い事を書いていくのだ。

なぜ車に張り付けるのかって？

それは、その七夕ワゴンの向かう先に秘密があるのだ。車体に張り付けられた沢山の短冊は、そのまま山道を登っていく。上空１２００メートル。車で約１時間。山道を登った先にある頂上まで行く。するとそこには、大きな木があり、そこに短冊を飾る。少しでも織姫と彦星に近づく為に始まったイベントだ。

今年はどんな願い事が書いてあるのかな。そう思い、短冊を一つ見てみる。

「七夕ワゴンが無事に辿り着きますように」

「七夕ワゴンが事故しませんように」

去年の七夕ワゴンは、交通事故によって車が炎上し、燃えてしまったのだ。だから皆、七夕ワゴンを心配してくれていた。