第916話 博学ボンベ
登山グッズのコーナーにポツンとあったのが、この博学ボンベだった。酸素ボンベの隣に普通に置いてあった。店員にこれは何かと聞くと、最近出たばかりの新商品でその空気を吸えば博学になるという。なるほど。それは面白そうだ。私は興味本位で一本、博学ボンベを購入してみる事にした。家に帰り、早速博学ボンベの空気を吸ってみると、頭の中に様々な分野の知識が流れ込んできた。
登山者の七割は、下山中に膝を痛める。その対処法は――。この漢字の由来は――。物理法則を利用するとこの現象は――。ダヴィンチの絵における色の使い方は――。
「これは……!!凄い!!」
私は博学ボンベにハマった。そして博学ボンベを大量購入し、ありとあらゆる知識を手に入れていった。何百本吸っただろうか。私の知識量は、誰にも負けないものになった。そして私は博学になりすぎて、人生において知的好奇心が得られなくなり、人生がつまらなくなってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます