第892話 髭
伸びてきた。何がって?髭だよ。
髭を剃るのは面倒だ。永久脱毛も考え事もあるが、レーザーを当てるなんて抵抗があるし断念した。
毛深い俺にとって髭の存在は、実に鬱陶しい物だ。この髭を無くすことができるなら、俺の人生はバラ色になるに違いない。
髭……。
何と憎い奴なんだ。
髭は本来、身体を守るためにあると言われている。しかし実際どうだ?
髭なんかで体が守られるわけないし、普通に怪我はする。髭がもっと硬くて防御面にでも優れているのならば、俺は鉄壁の防御力を持った戦士にだってなれたはずだ。
ある時だった。テレビに出ていた絶世の美女。百年に一人の奇跡と呼ばれた女優がいた。ぶっちゃけタイプだ。
「好きな男性のタイプは?」
俺はテレビに釘付けになる。どうせ金持ちとかイケメンって答えるんだろ?
「私、髭の濃い人好きなんです。男らしくて」
髭……。
俺はお前を愛している。
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