第850話 クローン

「君は知っているかね?クローンの第一号は人参だったんだよ」

博士は私にちょっとした雑学を教えてくれた。

「そして長年の研究の末、人類はついに人のクローンを作り出す事に成功した」

博士は歩きながら答えた。

「はい。私も先生の元で長年研究にご一緒させて頂きました。クローンは人類を救う素晴らしい技術です」

「だがね。時々思うのだよ。私のやっている行為は、神の怒りに触れてしまうものなのではないのかとね」

「そんなことありませんよ。先生は多くの病気やケガで苦しんでいる人を救おうとしている。神様もきっと許してくれます」

「そうか……。なら君には人類の為、死んでもらわなければならない」

「なんですって?」

「君はね。私のクローン実験の最初の作品なんだ。君はクローンだ」

「……まさか。冗談ですよね?」

「冗談ではない!!さあ人類の為、喜んで死を受け入れろ!!」

そう言って博士は、私に襲い掛かってきた。

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