第819話 wi-fi背後霊

私には霊感があり、背後霊が見える。ただ私の背後霊は、電波が悪いと会話が途切れるのだ。


「……っ……だかっ……れ……み……」

「何?遠くて聞こえない。もっと近くに来て」


wi-fiの電波と同じだ。私と背後霊が一定の距離以上離れると、電波が途切れるのだ。だから私は彼女をwi-fi背後霊と呼んでいる。


「ねえ。だからさ、4Gじゃだめなのよ。そろそろ5Gに対応しないと。私が最新版になったら、あなたもメリットが沢山あるのよ?」


wi-fi背後霊の彼女が言う。


「どんなメリットが?」

「いざという時に守る速度がアップするの」

「5Gだけに高速通信?」

「そう」

「機種変ってどうやるの?」

「墓参りに行くの」


私は墓参りに行った。機種変された背後霊は、高速通信になった。


「ねえ」「何?」

「「なんか変わっ……「変わったわ」


背後霊は私の会話を遮って高速で話をするようになった。

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