第782話 流れる旋律に耳を傾けて

La~La~La♪

恋の息吹があなたの唇に重なる♪


また歌声が聞こえる。この歌を聞くのは、何度目の事だろう。隣の病室から聞こえる彼女の歌声は、とても綺麗で透き通った声をしている。天使の歌声だ。僕は彼女の歌声しか知らない。どんな姿をした人なのかは知らない。でも彼女の歌声に惚れて恋をしてしまった。僕はベッドの上から起き上がって自分で歩く事はできない。ベッドの上で寝たきりだ。でも彼女の歌声だけは、しっかりと聞こえている。


La~La~La♪

あなたの気持ちをそよ風とメロディーに乗せて♪


綺麗な声だ。君は一体どんな顔をしているんだい?

きっと想像を絶するほど綺麗なんだろう。会いたいな。一目でいいから。


僕は目を閉じる。見慣れた天井の景色は真っ暗な暗闇へと変わる。でもこの歌声が聞こえる限り、暗闇の中には光が照らされている。そんな気がする。

誰か分からないけど、いつも歌ってくれてありがとう。

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