第782話 流れる旋律に耳を傾けて
La~La~La♪
恋の息吹があなたの唇に重なる♪
また歌声が聞こえる。この歌を聞くのは、何度目の事だろう。隣の病室から聞こえる彼女の歌声は、とても綺麗で透き通った声をしている。天使の歌声だ。僕は彼女の歌声しか知らない。どんな姿をした人なのかは知らない。でも彼女の歌声に惚れて恋をしてしまった。僕はベッドの上から起き上がって自分で歩く事はできない。ベッドの上で寝たきりだ。でも彼女の歌声だけは、しっかりと聞こえている。
La~La~La♪
あなたの気持ちをそよ風とメロディーに乗せて♪
綺麗な声だ。君は一体どんな顔をしているんだい?
きっと想像を絶するほど綺麗なんだろう。会いたいな。一目でいいから。
僕は目を閉じる。見慣れた天井の景色は真っ暗な暗闇へと変わる。でもこの歌声が聞こえる限り、暗闇の中には光が照らされている。そんな気がする。
誰か分からないけど、いつも歌ってくれてありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます