第711話 荒っぽい恋

電車の中、私は中年男に体を触られた。痴漢だ。声をあげたいが、恐怖で声が出ない。


「ゃ……ゃめ……て」

「おい、てめぇ。コノヤロー、次の駅で降りろ」


そう言うと、強そうな男の人が中年男の腕を掴んだ。


「痛ぇえ。遺ぇえ。す、す、すみません。勘弁してください」

「おい、女。お前も次の駅で降りろ」

「は、はい。ありがとうございます」


痴漢男は駅員につまみ出された。それから色々あって解放され、私は強そうな男にお礼を言った。


「ありがとうございます。助かりました」

「あー……ああ。じゃあな」

「あの、お礼させてください」


こうして私は、後日男性と食事をする事になった。そしてその夜の帰り道の事だった。


「おい、どこ行くんだ」

「家こっちなので……」

「今日は俺の家に泊まっていけ」

「えっ?」

「夜も遅いだろ」


彼はとても強引だった。でもそんな男らしいところに私は惹かれてしまった。

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