第676話 恋敵

俺には恋敵がいる。幼馴染の健二だ。いつも三人で遊んでいた。健二も彼女の事が好きだというのは、すぐに分かった。


「俺とお前は、恋のライバルだ」


幼い頃、健二にそう宣言された。勉強もスポーツもとにかく健二に負けないように必死に頑張った。だが健二は強かった。勉強もスポーツも健二には勝てなかった。ある時だった。三人で公園で遊んでいる時、大きな犬が俺達に襲い掛かってきた。俺は彼女を守った。だが健二はビクビク震えながら、その場で立ち尽くしていた。犬が逃げていき、俺達は誰も怪我する事なく助かった。


それからしばらくしての事だった。


「……お前は彼女を守った。俺は守れず、怯えているだけだった。俺はお前に負けたんだ。俺は手を引く。お前は彼女を守って幸せにしてやってくれ」


健二はそう言うと、俺に彼女を任せた。それから俺は、彼女と付き合うようになった。健二、お前との約束、俺は必ず守るからな。

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