第650話 白杖の女
目の前で白杖の女性が転倒した。私は大丈夫ですかと声をかけた。
「ありがとう」
「いえ」
「……あら。あなた。そうなのね。とても純粋で人を信じやすい。だから人から騙されてしまったのね。可哀想に」
「えっ……」
当たっている。私は彼氏の借金の連帯保証人になり、彼は逃亡。私には200万円の借金だけが残った。
「私、目が見えないけど人が見えるの。ねえ、助けてくれたお礼をさせてもらえないかしら」
「お礼ですか?」
彼女に連れていかれたのは、一件のBARだった。
「マスター、いつもの。彼女にも同じ物を」
「えっ、私お酒飲めなくて」
「大丈夫。ただのアイスコーヒーだから」
そう言いながら彼女は笑った。
「マスター、良い依頼ある?報酬200万くらいのやつ」
「旦那の浮気調査」
「ちょっとここで1時間待ってて」
そうして戻って来た彼女は、私に200万円を手渡した。
「これで借金返して」
彼女は微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます