第644話 妄想チョコ

モテてモテて仕方がない。

こんなにもバレンタインデーチョコを貰ってしまった。一人でこれだけのチョコを食べきる事なんて、とてもじゃないけど出来ないな。どうしようか。


そうSNSに呟いた。実は嘘だ。

そんな妄想に浸る為、僕は自分で自分にチョコを買いまくった。沢山のいいね!がついた。凄いですね。モテて羨ましい。顔見たいです。色々なコメントが届いた。僕はそれを恍惚の表情を浮かべながら眺める。


僕はモテるんだ。そう。僕はモテるんだ。


しかしふと気づく。こんな事に何の意味もない事に。現実の僕は、全くモテないんだから。


でも僕はまたチョコを買う。

すると一人の女性が話しかけてくる。店員だ。


「ふふっ。そんなに沢山のバレンタインチョコ買っちゃって。惨めだと思わない?可哀想だから私があげる」


そう言って女性店員は、僕にチョコをくれる。


もちろんこれも妄想である。

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