第603話 宝石箱

私がその宝石箱をもらったのは、誕生日の事だった。ピンク色をベースとして金色の装飾が施されたそれは、とても綺麗な宝石箱だった。


早速私はアクセサリーを入れた。宝石箱の中にアクセサリーを入れると、なんだか豪華に見えてアクセサリーの価値が上がったかのようだ。


ある日の事だった。宝石箱からアクセサリーを取ろうとすると、アクセサリーがない事に気が付いた。


「あれ?おかしいな。確かにちゃんと入れたはずなのに……」


部屋の中に落としたのかなと思い、部屋中を探し回るが見つからない。仕方なくあきらめて他のアクセサリーを付ける。するとさっき付けようと思っていたアクセサリーよりも服に合っていた。

翌日、宝石箱を開けると失くしたはずのアクセサリーが箱の中にあった。


後に分かった事だが、この宝石箱は私のファッションに合うアクセサリーを選んでくれる宝石箱だったのだ。


今日も私は宝石箱のセンスに任せている。

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