第569話 オペラグラス

それは不思議なオペラグラスだった。覗くと見れるのは、演劇の舞台。自分の部屋から見ても演劇が見れるのだ。

やっている演目は色々あって、見たい演目を見れるかどうかは、運次第。それはまるでVRゴーグルのようだ。私はそのVRゴーグルのようなオペラグラスにハマッた。様々な演劇の作品に触れる事ができて、私は満足していた。しかしそれもしばらく経つと、演劇以外は見れないものかと思うようになってきた。


「お願いします!!演劇以外の面白い物を見せてください」


そう言ってオペラグラスを見ると、そこに映っていたのは、女性の着替えている姿だった。


「違う!!私は女よ!!女が女の着替えシーン見て何が面白いのよ!!他のにして」


オペラグラスにそう言って、再びオペラグラスを覗く。するとそこには……

男が人を絞殺する様子が映し出されていた。


「本物の殺人現場は、迫力がありすぎるわよ……」


やっぱり演劇でいいわ。

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