第547話 エビフライ

幼稚園の時の事だった。私はお弁当を食べる時、隣に座っていた男の子に大好きだから最後に食べようと思っていたエビフライを食べられてしまった。私は大泣きした。


「わ、悪かったよ。そんなにエビフライ好きなら今度から俺のやるから」


彼とは小学校、中学校とずっと一緒だった。そしてエビフライが出てくる度に、彼は私の所に持ってきてエビフライを渡してくるのだ。


「いや、流石にもういいよ。いつまでやってるの。昔からずっと私にエビフライくれるんだから」

「そりゃ……お前があんなにギャン泣きするからだろ。俺だって反省してるんだよ」


食べ物の恨みは深いが、大好きなエビフライをくれる事は悪い気はしなかった。そして中学を卒業。彼は、中学校の卒業文集のプロフィール欄にこう書いた。


嫌いな食べ物:エビフライ。昔、エビフライで好きな女に泣かれたから。


私は、その卒業文集を見て顔が真っ赤になった。

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