第448話 千年の時を越えて

下界には、とても不運な人間の男がいた。私は神。人間に関与する事は許されない。私は、彼を見守る事しか出来なかった。とても懸命に生きている。彼の両親は早くに病で亡くなり、幼い頃から自分の力で生きなければならなかった。友に裏切られ、女にも裏切られ、絶望の中で生きているはずだ。だがどうして彼は、これだけの不運の中でも笑って前を向いて生きていけるのだろう。私は彼に何かある度に頑張れと心の中で言い続けていた。そしていつからか、私は神でありながらも彼に恋をしてしまった。そして彼は、ついにその寿命を全うした。見事な生き様だった。

それから千年が経った。神として千年生きた私は、人間になる事を許された。そして見つけたのだ。彼が輪廻転生して生まれ変わったその時、私は彼と共に人生を歩むと決めた。


以前は叶わなかった夢。

あなたのそばにいるという夢。


千年の時を越えて――

今、私はあなたに会いに行きます。

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