第317話 百歳の白菜

日本の農業は、高齢化が進んでいた。跡継ぎがいなくて困っていた。この町では、名産品があった。それが百歳のお婆ちゃんが作る野菜。百歳の白菜だ。跡継ぎがいないことを逆手に取ったブランド野菜だ。味も瑞々しくて美味しいと、とても評判だ。百歳のトネ子さんは、20歳の時から農業を始め、農業一筋80年の超ベテランだ。孫の顔よりも見た白菜の顔という思わずクスッとくるキャッチコピーも消費者にウケている。そんなスーパーお婆ちゃんのトネ子さんにテレビの取材がきた。元気の秘訣を聞かれたトネ子さんは、こう答えた。


「元気の秘訣は、毎日太陽の光に当たりながら土いじりをやって、よく体を動かす事だね。それから朝昼晩のご飯もしっかり食べて、よく眠る事も大事だね。でも一番大事なのは、人生に目標を持つことだがね。私は、次は百二十歳の白菜を作るのを目標にしているんだ。目標があると長生きできるがね」


と、元気よく答えた。

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