第289話 消”しゅう”スプレー

親にお使いを頼まれて買い物に行った帰り、消臭スプレーを買うのを忘れていた事を思い出した。わざわざまた買いに戻るのも面倒臭い。諦めて帰っていると怪しげな男が風呂敷を広げていた。


「坊や、消”しゅう”スプレー探してるんだろ?あるよ」

「なんで知ってるの?」

「俺は何でもお見通し。そういう男なんだよ。凄く良く消えるよ。100円だけどどうよ」

「ラッキー。丁度良かった。じゃあ買うよ」


俺は消”しゅう”スプレーを買った。早速それを使い、トイレの消臭をしてみた。……しかしよく分からない。


友達から電話がかかってきた。

「おう、どうした」

「映画観に行かね?」

「あー!悪魔の逆……見たかったんだよ。来……から公開だよな」


……あれ?

なんで”しゅう”が言えないんだ?


「待ち合わせどこにする?」

「じゃあ駅前に…‥合な」

「おう、じゃあ駅前でな」


俺が喋る全ての”しゅう”が付く言葉が消された。

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