第185話  イーピンのイヤリング

彼女を見かけたのは、大学のキャンパス内だった。とても綺麗な子だ。見惚れていると彼女の耳から何かが落ちた。彼女は、それに気づかず歩いていく。彼女の落とし物を拾った。それは麻雀牌のイーピンのデザインになったイヤリングだった。だが彼女を見失ってしまった。同じ大学内だし、また会えるかもしれない。翌日、再びキャンパス内で彼女を見かけた俺は、彼女に声をかけた。

「あの!」

「えっ?」

「これ落ちてましたよ」

「ありがとう!よかった。大事な物だから探してたの」

「これって麻雀牌?」

「そう。イーピンのイヤリング。友達が作ってくれたの」

「麻雀好きなの?」

「私、プロ雀士なの。このイヤリングは、対局のお守りなの」

「えっ!?プロなの!?俺、麻雀のルールとか分からないんだ。難しそうだし」

「じゃあ今度私が教えてあげる」


それが彼女との出会いだった。後に俺は、プロ雀士となり、麻雀の世界にのめり込んでいく。

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