第176話 ‰

目が覚めると手足を縛られ、薄暗い部屋にいた。私は、監禁されたようだ。


「おや、クロリア博士。お目覚めですか?」

「…私をどうするつもりだ」

「死を遂げた人の体内から検出された未知のウイルスの研究。そしてあなたは、その治療薬の開発に成功。治療薬なんて開発されては、我々としては困るのですよ。クロリア博士。‰。この単位は、もちろんご存じですよね?」

「1000分の1を表す単位だ」

「そう。またこのウイルスが入った毒薬の名前も‰だった。どうです博士。僕とゲームをしませんか?僕も退屈していたところです」

「ゲームだと?」

「このコインを投げて表を連続10回出せたらあなたを助けましょう」

「確率は2の10乗。1024分の1か。‰に相応しいな」

「ただし外れた場合、あなたに‰を投与し、死んでもらいます。どうです?」

「やるしかないようだな」


生存確率1024分の1。私は祈るようにコインを空へ投げた。

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