第23話 漁師が釣った失恋

「おー?なんだー、こりゃー」

地元の漁師が釣り上げたのは、茶色の鞄だった。引き上げて鞄の中を見てみると、ビニール袋に入った手紙を見つけた。漁師は、手紙を開けて読んでみた。


あなたに恋をしました。ですが、あなたには、すでに想い人がいるようですね。私も早くこの想いを忘れる為、海にこの想いを捨てようと思います。本当に心の底から大好きでした。今までありがとうございました。私も新しい恋を探します。あなたもどうかお幸せに。


「はぁ~、漁師になってまさか失恋を釣り上げるとは思わなかったなぁ」


手紙と鞄を船に入れて漁を続けた。漁から帰って来た漁師は、なんだか手紙を捨てられないでいた。そこで漁師は、新聞社にこの手紙の事を記事にしてくれるように頼んだ。後日、新聞記事を見た女性が連絡してきた。手紙を釣り上げた漁師と女性は会う事になった。


「と、まあこれが俺と嫁の出会いさ。もう二十年前の話さ」

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