第20話 世界でひとつのお花見

「大学受験が終わったら一緒にお花見行こうね」


僕が二十歳の時におばあちゃんが死んだ。僕は、おばあちゃんとの約束を果たす事ができなかった。それだけが心残りだった。いつも優しかったおばあちゃん。僕はおばあちゃんが大好きだった。


おばあちゃんと花見に行く約束をしていた。でもおばあちゃんは、僕の受験が終わる頃に体調を崩して入院した。それから一年間の入院をして、病院で亡くなってしまった。


僕は泣いた。しばらくは何も手につかなくなった。


少し落ち着いてきた頃、おばあちゃんに綺麗な桜を見せてあげたくなって、桜の名所に行って写真を撮ってきた。

そして仏壇に写真を飾った。仏壇に手を合わせる。


「おばあちゃん。見てる?桜の名所で撮ってきた写真だよ。おばあちゃんとお花見行けなかったから、これで我慢してね」


その夜、夢を見た。

おばあちゃんが出てきた。

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