第18話 黄色い男
毎朝の日課であるジョギングをしていると、いつも黄色いジャージを着た男とすれ違う。どうやら彼も毎朝ジョギングしているようで、すれ違う度に頭を下げるだけでお互い話した事はなかった。
ある日の雨の事。僕は合羽を着てジョギングをしていると、向こうから黄色い合羽を着た男が走ってきた。やっぱり黄色なのかと思いながら走っていると、彼が目の前で派手に転倒した。
僕は思わず「大丈夫ですか?」と声をかけた。僕は肩を貸してあげて近所だという彼の家まで送っていく事にした。彼の家に着くと、彼は玄関で濡れた服を脱いだ。パンツもシャツも黄色だった。どれだけ黄色好きなんだよと思いながら部屋に入った僕は、目を疑った。そこには、あらゆる全ての家具が黄色で統一されていた。
僕は思わず「黄色一色ですね」と言うと、彼は答えた。
「黄色い物は風水上、金運がアップするからね」
彼は黄色ではなく、風水に憑りつかれた男だった。
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