第11話 三毛猫みっけ

月に一度の祖父のお墓参りに来た僕は、祖父のお墓の前で寝転んでいる三毛猫を見つけた。

猫好きの僕は、三毛猫を抱っこした。


「……あれ?お前、雄なの!?」


三毛猫は雄だった。三毛猫の雄は、猫の色を決める遺伝子の関係で、約三万分の一の確率で生まれると言われ、非常に珍しいとされている。

僕はこの子を連れて帰るべきか迷ったが……


「……いや、やめておこう。お前は、このお墓のアイドルなのかもしれない。じゃあせめてお前に名前を付けてやろう。そうだ、みっけ。お前の名前は、みっけだ」


こうして僕は、墓参りに来る度にみっけに会う事が楽しみのひとつとなった。


墓参りに行くと、みっけが僕を見つけて近寄って来た。


「よぉ、みっけ。元気か?」

「元気だよ。お前の爺ちゃん、話が長くてさ、眠くなっちゃうよ。なんとかなんない?」


みっけが突然喋った。

そうか、お前がいつも寝てたのは爺ちゃんの話が長いからか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る