第275話 なゆなゆ

「ニックネームで呼び合うのって、可愛いね」と、友里絵。


菜由「じゃ、あたしはなゆなゆ」


由香「キモっ」と、言った途端に逃げた。


菜由「このっ」と、拳を振り上げたときにはもう居ない(笑)。


菜由「逃げ足の速いやつ」と。



友里絵「所詮、袋のネズミよ。ふっふっふ・・・。」と、懐手。お侍さんの顔真似。


由香「出合え、出合えー!」


友里絵「火付け盗賊改め方、長谷川平蔵であーる」ドヤ顔。




ドイツ人ふうの叔父さん・・・・「what? event?」と、愛紗に聞く。


愛紗は「non ,non ...she is commedienne . this is adlib .」



ドイツ人の叔父さんは、「oh , merverous! wahaha...」と、友里絵の肩を叩いて。


でっかい手(^^)。



ドイツのお札らしい紙幣を、友里絵に渡して「ガンバッテ、ネ」と、日本語。




由香「愛紗、なんて言ったの?」


愛紗「コント芸人のアドリブって」



菜由「わはは!デビュー作か、これ!」



友里絵はお札を持って「これ、幾らなんだろね」


由香「さあ・・・?記念にとっとけ」


友里絵「とっとけ、とっとけ」



由香「ハム太郎」



友里絵「そうそう。肉やのオジサンがモノ持ちが良くて。

なんでも「とっとけ、とっとけ」って言うので・・・。


みんな「とっとけハム太郎」って呼んでた」



菜由「面白いね」



愛紗「お肉屋さんだもんね」




列車は急勾配を登っていく。




坂倉さんはアナウンスーーーー。





ーーーー皆様と列車は、ただ今33‰の勾配を登っております。

日本の鉄道では、最も急な勾配です。

1000m進んで、33mの高さを登っていますーーー。



と、美しい声。



背が高くて、すっきりした声。

色白、ひとえ、黒い髪、きれい。

まるいお顔。



友里絵は「お人形さんみたい」


由香「ほんと。」


友里絵「こけしとか」



由香「電動?」



友里絵「バカ」



由香「聞いてない、聞いてない」



菜由「ったくもう・・・。(^^;;;;。」



愛紗は、なんのことかわからない・・・・。」





勾配を登ると、阿蘇の外輪山の中だ。


右側にある山に、風車が回っていて。



蒸気機関車も、ひと息ついた感じ。


かたたん、かたたん・・・・と。静かだ。



さかまゆちゃんは、ガイドが一息ついて・・・。友里絵たちのところに。


「楽しそうですね」と、にこにこ。



友里絵は「はい!とっても。SL初めてなの」と、にこにこ。


さかまゆちゃんも、にこにこ。


友里絵は「まゆまゆからメールが来てね。さかまゆちゃんの汽車に乗ってるって書いた」



さかまゆちゃんは「(^^)まゆまゆも乗務でしょ?」


友里絵「うん。たしか・・・そうだと思う。昨日一緒だったから」



由香「一緒にね、熊本回ってくれて」



菜由は「楽しかったな」


愛紗「ほんと」



友里絵「さかまゆちゃんは、いくつ?」


真由美「19です」


友里絵「あー、じゃ、同期?まゆまゆと」




真由美、こくり。「試験も一緒で。熊鉄で受けました」


由香「一緒で、いいね。あたしたちとおんなじ」


真由美は「みなさん、同期・・・国鉄ですか?」


友里絵「あたしらは、バスガイドなの。東山の」


真由美は「いいですね。バスガイドさんって。華やか」



由香「そっかな」と、にこにこ。




真由美「2号車に、乗車証があります。お飲み物もあります。いかがですか?」


友里絵「いこいこ!」


由香「そだね」


菜由「なゆなゆも」


愛紗「キモっ」


菜由「愛紗が言うな!」と、ひっぱたくマネ。


楽しく、楽しく・・・列車は走る。

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