第210話 skysensor

菜由は「そうそう、ラジオねー。良く入るよね。」

家に置いてあった、ラジオを思い出す。

黒い、革のカバーがついてて。電池3本いれて。

縦型で。

受信すると、メーターが振れる。銀色のバッジ。SONY、とあった。

skysensor 5500A 、と書かれていて。いい音だった。

父が使っていたものを、貰ったのだった。



真由美ちゃんは「はい。燃えよせんみつ、って番組のお話でした」

二階の、自分の部屋にあるラジカセを思い出している。

ちょっと大きめの、グレーの。机の上においてあって。

HITACHI TRK-1255と。

これは、父が買ってくれたものだった。



友里絵「あー知ってる。けっこう、アレで」

友里絵は、団地の自分のお部屋にある、ラジオを思い出した。

団地のお部屋は4階で、南向き。最上階なので、海が良く見えた。

ラジオは、ちいさい携帯ラジオで、赤いものだった。

お兄ちゃんがくれたもので、MITSUBISHI,とあった。




真由美ちゃんは、すこし恥ずかしそうに「はい。」


由香「アレって?」


友里絵「だから、アレっぽいわけ。」


菜由「ああ・・・。」

なーんとなく、わかるアレ系(笑)。




友里絵「ラジオ・コントがあるんだけど。みんなアッチ系なのね。夜のラジオだし」

と、にこにや(^^;



真由美ちゃんは、俯いて「そうですね」

右手で髪を押さえて。

少し長めなので、束ねていないと、さらり、としている。

浴衣でそうすると、ちょっと大人っぽくも見えるけど

表情は、まだ稚いけな・・・ちょっと不安定な感じが19歳らしい。



愛紗「どんなの?」

愛紗はと言うと、故郷の自室の机の上を思い出していた。

木造の、がっしりした机は、ニスが塗られていて。

そこに、四角い置時計、電気スタンド。ラジオ。

ラジオは横型で、大きなものだった。Panasonic RF-2200と、あって。

父が、くれたものだった。



友里絵「いやー、どんなのって言われてもナー。ちょっと恥ずかしくていえないけど」


由香「あんたに

「恥ずかしい」


なんて言葉があるんかい。


ロビーでパンツ見せて」



友里絵「いやー、あれはー。誰も見てないじゃん」



菜由「防犯カメラに録画されてたりして」



友里絵「うそー。こりゃ大変。投稿されちゃうよ」


由香「そっちで食えたりして」


友里絵「あー、だからタマちゃんが

『ネットアイドル』になれるよ

って言ったのか」



菜由「削除だな」



友里絵「ははは。いいパンツ履いとくんだった。」



由香「そっちかい」



菜由「ははは。まあ、かわいいほうがいいよね」



友里絵「黒くて、シースルーのとか」


由香「なんか、コンビニにある雑誌みたいだな」


友里絵「白い木綿の」



由香「それは、ブルセラね」



友里絵「おじょーさん、下着なにいろ?」


由香「バカ」(^^;




真由美ちゃんが「明日は、どこにお泊まりなんですか?」



と、聞かれて・・・また泣いちゃうと困るな、と思ったけど。

愛紗は「南阿蘇のつもり」



真由美ちゃんは「KKRですか?ホテル型で。豪華ですよ。露天風呂もあるし。」



菜由は「行ったことあるの?」



真由美ちゃん「ハイ。たまーに。鋸岳が良く見えます。高森線の終点から、バスで

ちょっと、ですね。バスだと、人吉からも行けますね。」



愛紗「うん、わたしも何度か行った。」



真由美ちゃん「いいですよねー。のんびりできて。

まわりになにもないし。」


愛紗は「そうそう。わたしは、延岡から鉄道で高千穂まで行って。そこからバスで30分くらいだったか」


その、町営バスの仕事にしようかな、なんて思ってた時もあったと愛紗は回想する。

遠い昔のこと、みたいな・・気もする。



菜由は「高千穂って、お神楽があるんでしょ?」



愛紗「そうそう。そうなんだけど。あれ、拝観料があるから。見てない。」


菜由「地元ってそんなもんだよね」


友里絵「あたしも、箱根神社とか行ってないし。芦ノ湖の遊覧船も乗ってない」


由香「あたしは、乗ったかな。子供の頃。」


友里絵「おーカネモチ」


由香「えっへん」


友里絵「威張るほどの事か」


由香「なはは」




真由美ちゃんは「じゃ、明日は・・・お昼前には人吉駅を出ますね」



また、泣いちゃうと困るかな、と思った・・・愛紗と菜由だったけど

今は平気みたい。


かわいい子が泣いちゃうと、ホント、困っちゃうな、と・・・。そんな風に思って。




友里絵が静かなので、由香が気にして。「どした?」


友里絵は、なーんとなく淋しくなって。涙ぐんでいたり。

「だって、明日には・・・・ね」


由香が、笑って「ハハハ。直ぐ泣くなぁ、ホント。オマエが泣いても可愛くないから。

ケロッコデメタンくらい」


友里絵「サベツだー。」と、泣き笑い。


♪虹のお池が雨になる~♪とか、歌いながら。




愛紗は「友里絵ちゃんも可愛いわよ」


由香「バカな子ほどかわいいって言うし」


友里絵「バカで悪かったな」


と、涙を拭って。


真由美ちゃんは「みなさんは、一緒でいいですね」



菜由は「あ、でも・・・・あたしらも、普段はバラバラだもん」


由香「ムッシュばらばら」


友里絵「あー、あったあった!。チンパン探偵!」


愛紗は、笑って「そうそう。小学校の時ね。男の子が骨折って。

ムッシュばらばらって仇名になって。」


菜由「骨が?折れてばらばら?」



友里絵「かわいそー」




菜由「あ、チンパンジーって、バヤリースのCMに出てたでしょ?あの頃。

最近さ、寅さんの格好したフランス人がオレンジジュースのCMに出てて。

なんか、あの人がチンパンジーに見えて。おかしくってしょうがないのね」



愛紗「なんか、悪いよ」



菜由「でも、ほら、誰にもわかんないもの。石川も、どっちかと言うと似てるでしょ?」


友里絵・由香「いーってやろ、いってやろ」



菜由「どっちかと言えば、よ」


友里絵・由香「石川さーん、菜由が「ゴリラ」だってよー。」



菜由「ゴリラだって言ってないよ。サル系だって」



愛紗「なんか、みんな似てるもんね。親戚だし」


友里絵「そうだって。隣人、くらいだって。祖先と言うよりは」



由香「そうなんだ。」



友里絵「タマちゃん情報ね」



由香「そうだと思った」(^^)。



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