第179話 駅市場

「まあ、水くらいじゃ当たらないよな、友里絵は」と、由香。


「いいでしょ」と、友里絵。


「神経無いもんな」と、由香。



「歯医者で抜いたとき、ぜーんぶ抜けちゃったって。お医者さんが


「ずるずる・・・・あ、あーあ、全部取れちゃった」


まあ、いっか」と、友里絵。


引っ張るマネ。



菜由は笑って「そんなバカな」


愛紗も面白い。くすりと笑う。




由香が「元々ないだろ、あんたは。バイキン並み」



「タフでなくては生きていけない。優しくなければ、生きていく資格は無い。

ネバー、ギブアップ!」と、拳を上げて。友里絵。



「おー、かっこいい」と、菜由。



「愛と正義の名の下に。美少女仮面!」と、友里絵。



「なつかしいね」と、菜由。

「夕方やってたね。日曜の」と、愛紗。


「だれが美少女だ!」と、由香はさっきの掌形モニュメントで、はたく。







貸してくれたおばさんに「ありがとうございまーす」と。



おばさん達も笑っている「おもしろいねぇ。芸人さん?」





友里絵は「へい」




由香「へぃじゃないよ。ははは」




友里絵は、干したお芋をかじりながら「たのしーねぇ。旅って。」



愛紗も「ほんと。」なーんか、解放された気がする。

ひろーい空、草原。お山。



それだけでも。




「車の音がしないところって、珍しいよ」と、菜由。


「そういえばそうね」と、愛紗。



駅前は、一応広場になっているけど

道路は離れているのか、何も音がしない。



「夜は星が綺麗でしょうね」と、愛紗。

「そうね。街灯りがないし」と、菜由。




「ホレ、あれが人間ぞ。女の会話ぞ」と、由香。


「あたし、一体なんなのさ。

じゃじゃじゃじゃーんじゃん♪」と、友里絵。エアギターの口真似。


サングラスにリーゼント。白いつなぎ服で斜に構えたつもり。




「おー、なつかしい」と、菜由。

「流行ったねぇ、つなぎ」愛紗。「貰ったけど、運転手研修で。青だったけど」




「胸んとこに「愛」って書かないと」と、友里絵。



愛紗は「かっこいいかも」と、にこにこ。



由香は「あんたはバイキンだろ」



友里絵「バイキンくんか」



菜由「それは割と最近」




市場のおばさんが「ぼちぼち出るよ」



友里絵は「あ、はーい、ありがとうございました」


おばさん、にこにこ「はーい、またおいで」


由香も「おさわがせしました」


おばさんたちは「んにゃ、面白かったよ」


菜由「失礼しました」

愛紗「またいつか」




駅の市場から、スレートの屋根の下を通って

ホームへ。


ディーゼル・カーは、エンジンをがらがら・・・・。床下にあるエンジンからは

太い排気管がターボ・チャージャーにつながって。


吸気管からもコンプレッサーにつながり、インタークーラにつながっている。

そこから、エンジンのインテークへと。



耐熱塗装されているが、茶色くなっている。


エンジンの振動につれ、震えている。

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