第164話 かわいいあいしゃ

翌朝・・・またしても。


寝坊。



カーテンの隙間からの陽射しで、目が覚めた愛紗。


飛び起きる。 「あ!」


・・・・・・今は休暇中だった。(^^)。


バス・ドライバー、いや、ガイドもそうかもしれないけれど。

出勤時間がまちまちで、しかも、早い。


目覚まし時計を掛けたにしても、寝過ごす事はあるから・・・・。

愛紗のように、生真面目な性格だと、よく眠れずに

夜間、何度か目が覚めたりする。



・・・・ああ、よかった。

時計を見ると、7時。



「まだ、大丈夫だね」愛紗は、ゆっくりと

ゆるーい寝巻きのまま、のんびり。


あくびしたりして(^^)。



菜由が、目覚める。

和室の寝室なので、隣に寝てるとどうしても、起きてしまう。



「なーんじーぃ?」


愛紗は「7時」



菜由は「んー、まだねむいー。けど・・起きなくちゃ。」



畳にお布団。菜由はお気に入りみたい。



「ゆりえちゃんたちは?」と、菜由。



「まだ寝てるんじゃない?」と、愛紗。


お笑いコンビ(^^)は、洋間のツイン・ベッドへ。


305号は、けっこう豪華な作りなので

キッチンがあれば2LDKである。



「これで3000円は安いなー。やっぱ、国鉄にしなよ、愛紗」と、菜由。



愛紗「それで決めるのもいいわね」(^^)。


菜由も「ほんと」(^^)。


あんまり、生真面目に考えても良くないのだろう。

友里絵たちを見ていると、そんな気持になってくる。




悩んだって、しょうがない。




そんな、気持・・・・。





「おふぁよー。あわわ」と、友里絵が

浴衣で、寝乱れたまま(^^)。


ふんわりさん。

スリムに見えるけど、案外とふくよかで

女らしいスタイル。


髪は爆発状態(^^)。



菜由が「おはよーさん。写真とってあげようか」と、ケータイを出して。



友里絵、Vサイン。「かーいく撮って」



由香が出てきて「ネットアイドルになれるな、そりゃ。」


友里絵「あー。前、タマちゃんに言われたー。」



菜由「なったの?」



友里絵は首を振り「んー、裸はいや、って言った。」



由香「いやー、こいつが勝手に「裸」だと思ってただけ。」



友里絵「そーだよーぉ。ふぁーー。」まだ眠そう。



菜由「そうだと思った。あの人がそんなことしないよね。」





友里絵「なぜか手はださないんだよね。したっていいのに。」



由香「オマエじゃ立たないんだろ」




友里絵「そーでもないけど。立ってたよ。」



菜由「朝からそういう話は止めて、ごはんにいこ?」




由香「愛紗、今日はどうするの?」


愛紗「一応、予定は南阿蘇に夕方までに着けばいいの。18時までね。」



菜由「新幹線だとすぐね。鹿児島から30分だし。」



由香「それもいいけど、遠回りするとか。」


愛紗「それだと・・・・肥薩線経由かな。」



友里絵「肥薩線ってなーに?」



菜由「うん。山越えのディーゼルカーで。景色いいの。

結構近いわよ。」



愛紗「そう。丘をぐるっと回る線路で。下ると川沿いね。

広い川で、見晴らしいいわ。」




「じゃ、そっちにしようか」と、友里絵。



由香「それに乗るなら、何時、駅?」



愛紗は、時刻表を見て・・・・「9時かな。一番早いの。それか・・・・

阿蘇を1泊にして、人吉に1泊。」



菜由「それもいいね。お宿は空いてるかな?」



愛紗「ちょっと待って。聞いてみる。」



愛紗は、フロントへ行って。


5分後。




「あるって。部屋。どうする?」と、愛紗。




菜由「平日だからねー。さすがはKKRだ。」



結構、列車の都合とかで・・・予定が変わる事もあるから

割と、予定変更には優しい。


元々、職員用の宿泊施設だったこともある。




「じゃ、そうしよっか」と、友里絵。



愛紗は「うん。じゃ。頼んでくるね。」



友里絵「チェーン店って便利」



由香「店かいな。」


友里絵「あ、ヘンかな?ははは。」



菜由も笑う。





ふたたび、ロビーに下りた愛紗は・・・・「あ、おはようございます。」



局長は、昨日と似たラフなスタイルで。「やあ、おはよう。よく眠れた?」

にこにこ。



愛紗は「はい。夕べはありがとうございます。」



局長は「あの、ちょっと聞いていい?」



愛紗は「なんでしょう。」ちょっと、どきどき。



局長は「あなたの親御さんは、国鉄職員でしたか?」



愛紗は「・・・・いえ、父ではなく叔父がそうです。」と、愛紗は日野さんの事を言ったのだが


局長は日生姓の叔父の事、だと思って。にっこり。


「そうかそうか、いやーありがとう。」



愛紗は「?」ちょっとわからない。



「なんとなく、あなたのお名前に聞き覚えがあったもので・・・・そうですか。

いやー。よかった。思い出せて。」と、局長。




愛紗は「わたしのこともご存知だったのですか?」



局長は「いやー、申し訳ない。それはよく覚えていないんだ。

こんなに可愛いお嬢さんなのにね。でも、お洒落な名前だと

印象に残っていたから。そうか。うんうん。」と、局長は


にこにこ。



それじゃ、と・・・食堂へと。





愛紗は思う。



・・・・・・わたし、幼い頃になにがあったんだろう?


国鉄の、後々局長になるような方が、幼い頃のわたしを知っていた、なんて・・・・。




ちょっと、ミステリーね。

そんなふうにも、思った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る