第452話 by the people, for the people, to the people.

気づくと、列車の方向幕も

回送


になっていて。



それだけみてると、ちょっと感傷的に




ああ、旅が終わってしまった。




なんて思うのかもしれないけど。



めぐたちには、仕事が待っていて。


感傷に浸るゆとりは無かったり。




それも、心のイメージに




仕事を、9時までに終わらせなくては。




と言う、「9時」と言う

漠然とした未来の時間を思ってると

ただ、焦ったりするのは当然で



心のイメージには、時間の概念がないから。





「手分けしてやっから、大丈夫だべ」と


整備部のおじさん、おばさんたちは言う。




一両にひとり、それがふたり、なら


20室のベッドを、ひとり10。



4時間あるなら、1時間に2部屋半分だから

そんなに大変でもない、と



予想する時間を、物理的に刻んでいけば

そんなに大変でもない、と分かる。



焦る事もない。




無理だったら、ひとを頼めばいいのだ。





そういう時、頼りになるのが国鉄の人脈である。




地域に鉄道が敷かれる時、みんなが手伝った。




道路もない時代である。




地ならしして、枕木を敷いて、レールを敷いて。




そうして、鉄道が走る。




みんなのものだ。





そういう意識があるから、地元に国鉄職員も多い。




手が空いていれば、手伝ってくれたりするのだ。




それが、国鉄の儲けになる、なんて

ケチな事は思わない。




みんなの列車。






それだけに、その鉄道を買収して

お金儲けにする、なんていう考えは



リサならずとも、ちょっと納得できない。

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