第391話 train departure,

リサのおじさんは、車掌さんの表情になって。一番後ろのお部屋、車掌室で

ドアのスイッチを指に掛けて、ホームを見渡している。



指先は、スイッチに。


視線は、ホーム。人の乗降、安全を思って。



口に、笛をくわえている。




ローカル線の普通電車だと、

無線で駅の放送もしたりするけど。



これは、特急なので

そういう事は駅員さんがしてくれる。





16番線、寝台特急northstar発車です。


ドア閉まります。




と、紺色の制服の駅員さんがアナウンス。




車掌、笛を吹いてドアスイッチを押す。




定刻。




空気の音がして、折り畳みの扉がバタリ、と


機械的に閉じる。



車掌は、無線で

機関車に連絡をする。



電車と違って、連結してるだけなので

電話は無線。


つながってるのに、おもしろい。


「イツレッサ、ハッサー」


と、ずっこけてしまいそうにユーモラスな

訛り、意味は



1列車、発車。(笑)。






機関車乗りは、汽笛を短く鳴らして



スロットルを開いた。



マスターコントロール、と言う

電源スライダーだが。






機関単弁、と言う

機関車だけのブレーキを緩めながら

駆動すると、しずかに発進。



編成全体のブレーキは、さきほどから緩められて


電気直通指令、と言う


列車全体のブレーキを

一度に掛けるものは

使用せずに



旧来の空気管指令、と言って


機関車の方からゆっくり空気を抜く。



そうすると、だんだん

前の方から

ブレーキが緩む。


最後の車掌室で、ブレーキが緩むまでの時間で

連結器のバネを緩めずに


列車をスタートさせる、高等技術である。



するする、と言う感じで

列車が走り出す。



と!

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