第389話 time crock of

ホームを3人で歩いていると

少し目立つのか、声を掛けてくる人もいたりする。




「この汽車は、何時に着くのかの?」と、尋ねられたり。









でも、列車の時刻

までは知らないから




「はい、あの...と、あたりを見回して




制服姿のNaomiは、しっかりして見えるのか


アルバイトの、それも1日だけの人には

見えないらしい。

ホームの天井から下がっている電光掲示板の時刻を案内したり。

そういうあたり、流石である。



落ち着いた対応と言うか。





めぐは、ハタで見ていてすごいなぁ、と思い



「同じ歳とはおもえなぁい」と


言おうとすると、その

言葉をれーみぃが言ったり。






そんなこんなで、ホームの端っこ、改札口のそばに来て

最後尾、結局さっきの

車両のところに来た。






「なーんだ、ここで良かったんだ。」と


めぐは、安心。






4人乗りの個室は、ふつうの二段ベッド。

向かい合わせの4つを


ガラスの扉で仕切ったもので



結構、4人旅行には楽しい作りだけれども


ひとりかふたりだと、ちょっと持て余す広さ。




「けっこ、広いね」


「オリエンタル急行みたい」




「くつろげそうね、でも、5時に出勤って事だと.....」





それぞれ、三者三様。






開いているひとつ、に

誰が乗って来るかが


ちょっと関心だけど(笑)。









30分前に駅に着いたハズなのに



もう、時計を見ると

何分も残っていなかった。





「そろそろね」と


naomiは、制服の上着を取って。




「着替えてくる」ドレスルームへ行った。




ひとつの車両に、ドレスルームがふたつ、シャワーもふたつ。




結構、豪華だけれども

普通の寝台特急だった。






きょうは、普通の日のせいか

割と、空いている。




ホームでお見送りの人も、まばら。






田舎に帰るおばあちゃん、硝子超しに

孫に手を振ったり。




大きな荷物を抱えた、サイクリングの若者。


その荷物は、折り畳み自転車だろうか。




大儀そうに、自転車をデッキに置いた。







髪をアップにした、ジーンズの女の子が


ホームの床に座りこんでいたり。






いろいろ、それぞれの旅立ち。





お弁当を売る、大きなワゴンを押して


売り子さん。





でも、夜だから、おじいちゃんだ。


おばちゃんが多いんだけどね、なんて

めぐは思う。






それぞれに、楽しげな旅立ちの風景で

こんな人達の心には、みんな天使さんしかいないんだろう、なんて

めぐは思ったりもする。


めぐ自身、つい、この間まで

天使さんが、心に住んでいたのだけれども



それは、また別の意味で、住んでいた(笑)。


3次元の実世界に。



あまり無いことだけど。





特別に護られた事の、意味を

まだ、めぐは意識していない。







「汽車って、いろんな人の暮らしも乗せてるんだね」って

めぐは思う。


暮らし、つまり時間の経過に沿った記憶だったりするけれど

ふつうの人間は、3次元的な時系列で記憶を保持する

でも

思い出すのは一瞬だから


お料理作るのはたいへん、食べるのは一瞬(笑)みたいな

不条理があったりする。



めぐは、魔法でそれを自由自在にできたりする、けど。





世界全体を動かせるほどのエネルギーは、もってない。



例えば、いつかみたいに

スクーターの少年が転んで、飛んだ軌跡を変えるくらいなら

大したエネルギーじゃない。


F=maで言うm、質量も

相対的なものだから

宙を舞っている間の軌跡を変えるだけなら


慣性で飛行しているときの、物体に掛かる重力加速度を

少し増減するだけでも軌跡は変わる。


F=mghsinΘ、mを変化させるだけでいいのだから。


その影響で慣性ベクトルが変わる。



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