列車番号1

第345話 みんなの気持ちと、ひとりの気持ち

「いってきまーす」と元気に

めぐは、学校へ。



クリスタさんは、図書館へ。



ちょっと、今朝の夢見は

二人とも良くなかったけど。




爽やかな秋風と一緒に

歩いて、坂道を下る。




路面電車の通りまで来て

駅の方へゆくクリスタさんと

学校の丘へむかう、めぐと。




今朝、めぐは

なんとなく、駆けて行きたい気分だったから


路面電車にも、スクールバスにも乗らず。


歩道を駆けて言った。


靴音、軽やか。


めぐの高校は制服がないから

こんな時、靴が痛まないでいい。





ジョギングシューズで駆けていく

女子高生は、ちょっとめずらしいけど(笑)


陸上部でもなんでもない、図書委員の

めぐ(笑)

でも、運動は大好きだ。



いつもなら、学校のテニスコートに

リサの姿があって。



おはよ、って挨拶するのが日課。




今朝はでも、見当たらないその姿。




「おっかしーなぁ」と、めぐは

走りながら思う。





「めぐ、めぐーぅ、待って」と、スクールバスから降りた女の子が声を掛けた。





「あ、れーみぃ、どしたの?」と

めぐは、れーみぃの雰囲気に異変を感じる。




「国会がねぇ」と、れーみぃは意外な

事を言うので


めぐは笑う。




「笑ってる場合じゃないの!リサがね、

特待生、ダメかもしれないの!」と

れーみぃは、真面目な顔で言うので



めぐは、びっくり。


それで、テニスコートにリサの姿が無かった。




「でも、国会とつながんないよ」と、めぐが言うと



れーみぃは、かいつまんで話す。



この国の国鉄は、もちろん国家予算で動いている。




その予算、来年の予算を国会で

作っていて



国鉄を、他の国みたいに

民営化したらどうか、と言う意見が出て。




それで、特待生、と言う制度は

民営化したら続かない、と



そんな話。




「そんなぁ!今更」と、めぐは憤慨する。



でも、税金を払っている人達からすれば

そのお金で、大学へ行く人達がいるのは

ちょっと、勿体ないと思う人達も

いるかもしれない。



税金を払う人達が、みんな大学へ行ける

訳でもないから、で



それはもっともな事だけれど。

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