第292話 family

めぐは、いつものように

畑の方から家に入ろうとした。



トマト畑から、おばあちゃんが出てきて


「おかえり、めぐ」なんて言って。


にこにこしてくれると、めぐもにこにこ。




そんな毎日は、なーんとなくしあわせ。




そう思って、めぐは

なにげなく

10年ほど後の、この時間軸で


同じ事をした。




やっぱり、おばあちゃんは


畑で、草取りをしてたり。




大きな麦藁帽子をかぶって。





「めぐ、おかえり。あら?」と



タイムスリップしてきためぐを迎えてくれた。





いつか、ルーフィたちが訪れた時のように



クワスとヨーグルトを、農機具小屋で



冷たいものを頂ながら。





おばあちゃんは「そうね。未来は確かに気になるわ。



あまり知りすぎると、つまらないのも

よくわかる。




ルーフィさんのご主人様は

、それで、眠りに入ってしまったの?」と


おばあちゃんは、めぐの想像に

答えた。




それは、想像よ、と


めぐは言う。






「それにしても、18歳のあなたは素敵ね。

とってもかわいいわ。


フランスのお人形さんみたいよ

」と



おばあちゃんは言うので


めぐは、恥ずかしくなって、頬が染まった。




「いま、ここに住んでるあたしは、どんな?

大人っぽくなってる?」と


めぐは、気になってる事を

おばあちゃんに尋ねた。





おばあちゃんは、楽しそうに笑って



「はい、とても素敵なレディよ。

おばあちゃんの一番の楽しみだもの。

めぐが、しあわせになる事が。」と




魔法使いにしては、ふつうのひとみたいな

おばあちゃんの願いに、めぐはちょっと聞いてみたくなった。





「おばあちゃんは、魔法使いで

永遠に生きられるでしょう?



どうして、そんなにふつうなの?」







おばあちゃんは、少し考えて、

トマト畑の草を集めながら



「そう、でも

おじいちゃんと出会ってしまったから。


人間として、しあわせに生きるのが

やっぱり、大切だし。


家族の中に生きていくって

やっぱりしあわせだもの。


」と、笑いながら。






めぐは、半分納得しながら



それだと、魔法使い同士で

出会ってしまったら


どうなるのかなぁ、なんて

思ったりもした。





もちろん、ルーフィ、それとめぐ自身と

Megの事だけど。




10年後も、おばあちゃんの話だと

まだ、めぐ自身は


答を見出だしていないらしい(笑)。







そっかぁ、と


溜息をついて。


めぐは、自分のお部屋の方へ行こうとした。




おばあちゃんは「あ、今

家族に会うと変よ?


あなたは、18歳のままだもの。」


と、おばあちゃんが言うから

めぐはそれに気づく。




「そっかぁ」あまり、何も変わらないので、

錯覚してしまった。



でも、お母さんやお父さんが見たら



それを、ドイツ語のドッペルケンガーとか、

二重身、なんて


言われるのかな、なんて


思ったりもした。




家族のために、おばあちゃんは

魔法使いとしての生き方より


人間としてのしあわせを選んだ。




と、いうよりも


選ばれたから、そう

生きたんだろな、と

めぐは、女の子っぽく想像した。



おじいちゃんに想われて。


おじいちゃんをしあわせにしてあげたい。


それが、しあわせだと思ったら




「やっぱり、そうなってしまうのかな」


なんて、回想しながらめぐは歩いて。



温泉の小屋の前、日陰のとこで

涼んだ。






にゃごが、のこのこ、と

歩いてきて。



どこか、にゃごに似た子猫が3ひき。



「かわいい.....ああ、孫か!」めぐは

その、白と、とら猫、それとぶちの

にゃんこたちを

遠くから眺めた。


にゃごも、愛おしむように


子猫たちを見守っている。

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