第104話  たまぁ


たまぁ



この家のにゃんこ「たまぁ」は 

「ゆきのひとひら」の絵本を借りた子に


拾われて、ここでしあわせにくらしているにゃんこ。



ちょうど、にゃごと同じくらいの猫。



そろそろお昼なので


海岸沿いに出て、お散歩をしようかと....。



とっとこ、とっとこ。



浜辺の松林で、近所のにゃんこたちが

おはなしをしていた。




「こないだの、図書館で溺れてた子を助けた猫。

『にゃご』って名前の。


あれって、元々は人間だったんだそうな。

それで、悪魔に生まれ変わったけど

魔力を捨ててまで、猫に生まれ変わったんだと」



と、このあたりの野良猫らしい、ハチ、と言うはちわれ猫が言っている。


白と黒、ちゃいろが混じった面白い模様のぶち猫だ。




一同が聞いていて、めいめいにうなづいている。



のらねこたちの行動は、なんとなく人間に似ていて楽しい(笑)。



もちろん、人間界から生まれ変わって猫になった者も居るし


これから人間に生まれ変わる者もいるだろう。



虫だったのに、良い行いをして猫に転生した者も居る。





「その『にゃご』がさ、絵本を探してるんだと。なんでも『ゆきのひとひら』と言う

絵本で。」と、ハチが言うと



まっくろの大柄な猫、クマが「へぇ、なんでまた?」




ハチは「理由はわかんないけどね。『にゃご』の飼い主が

その本と関係があるらしいんだとさ。」





たまぁは気づく。


その本は、うちにある絵本かな?




猫の情報は、早い(笑)。





たまぁは、来た道を引き返して


家に戻った。




 にゃご・たまぁ



にゃごのことを、もちろんたまぁは知らない。

でも、どこか前世で知り合いだったかもしれない。


以前、人間界に出ていって

魔界を追放された連中は

多くが、動物界に行っただろうから。


そのことを、

覚えていないだけの事である。



それなので、猫たちは

なんとなく共同体っぽい感覚だった。


どこかで、いつか

忘れていた記憶を思い出すかもしれないし。






にゃごが、どうしてめぐを助けようと

頑張っているのか?



一応飼い主だし(笑)。



クリスタさんの様子を気に掛けて

いたにゃご。


それで、猫のことばで

猫社会に協力を求めた。


猫は、気ままなようでも

本当に困っている仲間は助ける。



そういうものだ。


同じ猫同士、損得などないからで

そのあたりは、人間界より高級だ(笑)。






たまぁは、家にもどって


その、探していると言う絵本が

今、どうなっているのだろうと

興味を持って、行方を追った。



すると。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る