第92話  Take on me



その頃、ルーフィは

時空間を飛び越えて

元の、めぐのいる世界に

戻った。


「どこにいるのだろう?」

魔法を使っているなら、雰囲気で

わかる。


量子コンピュータを使って重力測定をする。


そうすると、、3次元の空間と

重力場が違っているところ、そこに

次元の違う場所、つまり

魔法使いが居る可能性がある。


そう推理しながら、上空を飛んだ。


ハイスクール、駅、港。


もう夜遅く、寝静まった町は

風も睡っているかのようだ。




図書館のあたりに、わずかに

異なる重力場を発見した。


かなり軽微なものであるが。



「・・・・なんだろう?」



ルーフィはそこに下りてみようと思った。


しかし、入り口には鍵が掛かっているし


セキュリティーのカメラに写ったりするのも、ちょっと困る(笑)。





どうしようかな・・・・・・と

ルーフィは、飛びながら考えた。














めぐは、ゆきうさぎさんとお話をして帰れるヒントを貰った。



3次元に実体化すれば、ここを出られるんだ。




とはいえ、その方法は

まだ知らない。



丘の向こう側で、スノー・フレイクさんと


ゆきうさぎさんが、心を通わす様を

見ていた。



もちろん、丘の向こう側なので

絵本には書かれていない。



ゆきうさぎさんは、丘の頂きの

こちらがわに、戻ってきた。




絵本のストーリーでは

スノー・フレイクは

うさぎさんに元気を貰って


心温まる、そういうところ。



優しいゆきのひとひら、もうひとりの

スノー・ウィに出会って。


仲良くなる、そんなところを

丘のこちらがわから窺い知った。



もちろん、ゆきのひとひらだから

スノー・フレイクも、スノー・ウィも

男の子でも女の子でもないんだけど


めぐは、女の子なので

その、スノー・ウィを

青年のようにイメージして見ていた。






絵本のなかのお話では


その、スノー・ウィは

スノー・フレイクと恋をする。


やさしくエスコートされて。



めぐは、そんな様子を見ていて

しあわせっていいな、と思う。



めぐ自身は、なぜか、ルーフィを好きになって。



ルーフィは優しい。お父さんみたいに。



それはそれでいいのだけれど・・・・。



スノー・ウィが、スノー・フレイクを愛するように

あたしだけを愛してくれないかしら。




でも、ルーフィのパートナー、Megは


実は、ルーフィの世界で言えば、マーガレット、つまり

Meg自体の3年後と相似な3次元モデル(笑)と言う訳なので。



運命のいたずら、かしら。



魔法使いでなかったら、ルーフィがMegと出会うこともなかったし

めぐと出会う事もなかった。


から、次元を超えて3人が出会う事もない。



そういう恋の方程式の帰結も、ない(笑)。






絵本の中では季節が過ぎて、春がやってきて。



スノー・フレイクと、スノー・ウィは

愛しあうカップルになっていった。



でも、雪解けの季節が来て。




ふたりは、溶けていってしまう・・・・。








「ありがとう」と、スノー・フレイクは

スノー・ウィに言いました。



きらきら六角形の、雪の結晶だった

ふたりは、まるい、水玉になります・・・・。









めぐは、涙ぐんでしまいます。




ふたりが、手をつないだまま

ふたつの水玉になり・・・・。



ふるさとの丘を、清らかな流れに乗って

雪割り草の小川を。


春のおひさま、きらきら。







めぐは、感涙します。




愛。



すてきな気持です・・・・。




そう思うのは、めぐが恋しているから、かもしれません。

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