第64話 映画作家さん

映写技師さんは、クリスタさんと、めぐ、と見て




「よく似てらっしゃいますね。あの、お茶でもいかがでしょうか。」とか(笑)。



それまで、めぐの事を

図書館で時々、見かけてたのに。


そんな事を言った事はなかったから



彼の目的は、クリスタさんだろうか(笑)。


わかりやすい人である。




「あ、あの・・・・」と

クリスタさんは返答に困る。


天使さんだから、欲はない。

青年と付き合うつもりは全くない(笑)。

もちろん、元悪魔くん、いまはにゃご、を

ずっと見守るためである。



それが、天使さんの愛なのだ。



でも。



めぐは、いい子だけど


こんなにあからさまに、女の子を誘う

映写技師さんに、ちょっと・・・・(笑)。


ふたりだと誘いやすい、それもあるだろうけれども



クリスタさんは地上の天使さんだから

人間にとっては魅力的。でも

それは罪つくりである。


永遠に成就しない恋、なのだから。



ひょっとすると、にゃご、みたいに

転生すれば恋は叶うかもしれないが・・・・・。





好き嫌い



わりと、男の子の方が

女の子の好き嫌いを

恋愛について、言ったりする。


面白い傾向で

霊長類、つまり

人間のお友達くらいは

そういう雄が主体で


他の動物は、概ね

雌が選択権を持っているけれど

でも、来る雄の中から選択する。



つまり、人間は

それだけ、選択について

自由だ。






めぐはルーフィが好きなので

別段、映写技師さんが

クリスタさんに興味を持っても

なんとも思わない。




過去のいきさつについて、知らないのだから

当然である。



でも、そのいきさつを知っている


ルーフィとわたし、Megは、釈然としない(笑)。




「天使を誘惑するなんて。」


と、わたしが言うと、ルーフィは


「フレンチポップスのタイトルみたいだね」と笑う。



「冗談じゃないわよ、まったく。

こないだ、めぐを誘っておきながら。」





「それは、ほら、神様のせいで

無かったことになってるから」と

ルーフィ。




「それにしたって、軽いよ」と、わたし。



「だって、めぐちゃん自体が変わってしまってるんだもの。

最初から、あの、元気いっぱいの

台風娘なんだから。」と、ルーフィ。



「人柄は同じじゃない」

と、わたしは(怒)。





「ま、恋心なんて不条理なものさ」と

ルーフィは、シャンソンみたいに。

イヴ・モンタンの真似っぽく(笑)。




お気楽魔法使いめ(笑)。





映写技師さんは、映画鑑賞会を

開くつもりで、司書主任さんを

訪ねてきたらしい。



そのあたりは、めぐの最初の人生と

おんなじだ。



「どうしてなんだろう?」とわたしはつぶやく。




「まあ、同じ人間の考える事って

そんなには変わらないから。

魔物が関係ない映写技師さんは

ふつうに映画を作ってる。でも

めぐちゃんは、魔物に関わったから

見た目の雰囲気が少し変わった。

そのぐらいの事かな。クリスタさんが

ここに来るのは偶然だけどね。」と、ルーフィ。




「神様は、天使さんが人間界に

いる事をお許しになってるのかしら」

と、ふとわたしは思う。



「さあ」と、ルーフィ。


そして


「許さない、とすれば

何か起こるかもしれないね。」と。








まあ、そのあたりは

例えば、映写技師さんも

この世界に魔物が居なかったせいで

大胆になっているのかもしれなかった。



魔物が居た頃は、ひとの心にも魔物が棲んでいたから

女の子でさえ、自分を偽って高く売ろう、そんな世界だった。


女の子雑誌の恋愛コーナーを見ると



「お金持ちでイケメンの彼をゲットする方法」(笑)


とか、つまりは人騙し(笑)の手法ばかりが書かれていたりした。




まあ、悪い大人が書いてたんだけど。



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