第48話



歪んだ時空は、僕自身だったのだ!






愕然とする。選択肢は2つ。



17歳の薗子のことを忘れるか...?



それか、向こう側へ自分が行けば....。




向こうか、こっちか。


どちらかの僕が消え失せる。

歪んだ時空がひとつ、消え去る。



昔から「神隠し」なんて言われている現象だ。






でも.....逢いたい。

17歳の薗子に。






僕は、叶わぬ賭けに出る事にした。





「薗子....」



なに?と、のんびりした声で

17歳の薗子は、答えるので

僕は、なんとなく微笑んだ。


こんな時でも、自然な薗子が好きだ。




「うん、”そっち側”の僕は

どこに居る?今...。」




僕は、”彼”のアドレスを聞き出した。


前におおよそ聞いてはいたが、

向こうの彼は僕と、違う。



そこに、何か鍵があるのかもしれない。







僕は、電話を切り、身支度をして

その住所に行って見る事にした。



窓から空を見上げると、真っ黒な雲が

たちこめている。



嫌なイメージだ。でも、なにかが起こるかもしれない。





そんな期待も感じられる、へヴィなウェザー。


わくわく、と

胸騒ぎに入りまじったような

不思議な感覚を覚えて、僕は

彼の家に向かった。





入り組んだような路地のむこうに

彼の家はあった。


場所に見覚えがあるが、しかし

そこに(向こう側の)自分が

住んでいるとは思いもしなかった。


ここが、時空の歪み...だと言う保証もない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る