第37話 


....逢いたいな。


自然に、心の中からそんな感情が沸き上がってくる。

今まで、感じた事が無いような感覚だった。

恋するって、こういう事なのだろうか?


僕は、初めての感覚にすこし戸惑っていた。



普段ならバスで来るのだけれども、

音楽を聞きながらだったので、自然に歩いて

僕のワン・ルームまで来てしまった。

広い吹き抜けの階段を昇って、3階へ。

305号室が僕の部屋。

階段の脇、最上階。

吹き抜け階段があるから

風が通って夏は涼しく

階段の屋根には

燕が毎年巣を架けていた。

今年は5羽雛が孵化し

賑やかにさえずっていた事を

つい、昨日のように思い出す。


もう、幼い翼ですいすいと

子つばめ達は、元気なカーヴを空に描いている.....


夜は、巣で眠っているのか

岩燕の巣は、静かだった。


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