来る日に

整理された書類に

綺麗に拭かれた机

分類されたフォルダー

敷き詰められた棚

この部屋の鍵

一つの部屋で完結する業務

生徒会、という仕事

自分一人だけだと

とても、シンとして

帰るために立ち上がると

ガガガ、と椅子が鳴る

鍵をとればカチャリと優しい音がして

よいしょと鞄を肩にかける

そのまま部屋を出て鍵を閉めた

この鍵を教員室に返せば今日は終わり

また明日がやってくる

放課後は、少し静かだ

足音をたてて歩く

歩いていると教員室に行く分かれ道

右の廊下に女子生徒二人がいた

女子は話し出すと、ずっと話しているから

関わりたくない

時間になれば帰る

学生なんて、そんなもんだ

余所行き笑みを浮かべて教師に鍵を渡した

一瞬のことで、一瞬で外に出たけれど

あの二人はいなかった

そういうものだと思う

シンとした廊下を歩き、階段を下り

下駄箱について、靴を履き替える

何ともない日、つまらない日

刺激もない、衝動もない

特別でもなんでもないって知ってしまった

苦しい、そう思った

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